177.ダンジョンと従魔
ダンジョンコアのココアが10階までは掌握済みというので、そこに転移した。誰もいないのでどれだけ暴れても問題ない。ただ帰りが問題で、15階のボスを守護しているボスを倒さなければ、10階まで戻らないと転移が使えないとのこと。
「じゃあ、5階ごとにいるボスを倒したらそこまでは転移が可能で、帰ることも出来るってこと?」
『そう。マリーの魔力がないとそこの干渉が出来なくて』
ボスを倒したらそこにある水晶に手をかざす。そうすれば魔力を感知して、そこを掌握できたという証だそうだ。その度にココアが掌握することが出来、出入りが自由になるとのこと。
「あれ?10階まではそんな感じじゃなかった気が…」
確か10階のボスはトレントで、エディが放った炎ですぐに燃えた。水晶とかあったっけ?
『ボスを倒した後出た石が転移石で、10階まで自由に出入りできるものになるよ』
「ああ、そういえば出たね」
ココアがいるからあたしたちは自由に出入りできるから、一番に入ることになったパーティーにあげたから忘れてた。
なるほどね。
どうやら聖女の森近くにあるダンジョンは10階からが本当のダンジョンらしい。
気を引き締めていこう。
って、気合入れて進んだのはいいけど、あたしやることがなくて眠たい。
テンションが高いエディと母さんが無双するせいで、あたしはアイテム拾いに専念している。正直面倒になってきたので自動回収スキルをオンにしておくことにした。
そう、なんとあたくしめ、この度ダンジョンを攻略するにあたり、禁忌に触れるとかでなければ大丈夫なように、10個スキルが作れるようにしてもらったのだ。
パチパチパチパチ。
アイテムの整理が大変だと思うけど、そこはまあ、追々。
初めて入るからなのか、出てくる魔物数が多い。
10-15階はトレントが殆どで、色んな木の実や種を落としていく。鑑定すると食べられるものが多かったから、食糧難になっているところに植えるのはアリだと思う。
特に果物系は喜ばれるだろう。あと余裕が出来れば栄養価の高いナッツ類。
今回の木の実はナッツ類が多い。煎れば食べられるけど、そのままなら種にもなる。
「それにしても多いな」
「多いよね」
父さんとうんざりしながら進んでいる。
トレントが多いということは、周りは鬱蒼とした木々の中。陽が入らないから薄暗いし、ジメジメしてるし、時折足元にスライムぽいナメクジと蛭が、結界があるからあたしたちには食いつけないと言うのに、懲りずに次から次へとやってきて襲ってくるのが腹正しい。
正直気持ち悪いので、やっぱり燃やす。
こやつらが落とすのは良質の土や肥料。精霊村にはいらないけど、セカンドには必要かと集めることにする。
15階のボスは大きなミミズ。
次の階はどうやら土の中にいる魔物が主流になるらしい。
正直、気持ち悪いのが続くと、ストレス溜まるよね!
杖を一振りで燃やしてやった。
「ああ!」
エディが悔しそうな声を上げるが、あんた先ほどまで戦ってたじゃん。もうちょっと考えながら戦える場所ならいいけど、そうじゃないなら一掃して次に進もうよ。
かなり子供らしくない低い声が出ていたようでエディが一瞬引き攣ったが、すぐに立て直した。
「うん!もっと倒し甲斐がある場所へさっさと行こう」
流石エディ。立ち直り早いし、ポジティブ。
ということで、30階層まで歩いた場所は、何も残らない勢いで燃やしていった。
普通なら空気が無くなって酸欠を起こすところだけど、あたしたちは加護があるし、結界があるから大丈夫なんだよね。だからこその無双なんだけど。
さあ、ここからか!
今までは木で出来たドアで、斧で叩けば壊れんじゃない?みたいだったのが、30階層のボスのドアは重たそうな鉄のドアだった。
だけどドアは押せば簡単に開いた。
どうやら押せば開くけど、中からは引くことも押すことも出来ない仕組みらしい。
へえ…ここからちょっと違うってアピールかな?
中にいるのは―――2mほどの1匹のスライムだった。
なんだか固そうなスライム。
ゲームでいうメタルスライムぽい。
あ、アイアンスライムとでた。
物理的に粉砕させるか、高熱で焼くかになるのかな?化学なんて覚えてない。
ウム。
ここに居るということは倒せるということだから、やはり物理的に倒せということかな?
「父さん、自慢の斧でぶっ叩いて」
「やっと出番か」
「きっとこれからの階はそんな感じじゃないかな」
父さんは肩慣らしをした後、それはそれは嬉しそうに身体強化をして、スライムをぶっ叩いた。
キ―――ィン
という金属音と共に、アイアンスライムは砕け散った。
アイテムは何だろうかと近寄れば、先ほどのスライムの1/4ぐらいの大きさのスライム。
部屋の中で機械音が響く。
アイアンスライムが仲間になりたがっています。
仲間にしますか? はい ・ いいえ
とあるゲームの世界のパクリ?とあたしが疑惑を持っている間に、父さんは嬉しそうに名前を付けていた。
『テツ』
まあ、父さんが喜んでいるならいいか。
読んで頂きありがとうございました。
ブックマーク&評価もありがとうございます。
読んでくれている人が居るって、テンション上がる!
ちょっと今週忙しいから次は遅れるかもしれませんが、次も書く!




