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174.精霊島セカンド見学ツアー2?――知ってる

島に到着した見学ツアー御一行総勢85人とフェンリル2匹。降り立った瞬間から空気が違うのが分かる。元々魔素が少ないからか、サクレの効果で更に聖域に近い感じになっているだと思う。これなら『魔』がこの区域に入ることはない。だけど魔素がない分、その他の効果は少ないのが分かる。

どういうことかと言えば、食物連鎖・生態系における動物の被害はある。

それは自然の摂理であって、人間に殺気を向けられているものではないからだ。だから畑に虫は普通につくし、それを目当てに鳥などがやってくるし、それによる野菜や果物の被害もあるということ。

地球の暮らしに近い環境だ。

勿論それを排除させようとすることは出来るが、それはサクレの力を必要以上に消耗する。じゃあ、誰がそれを補うのか。サクレの聖域を保つための魔力を補えるだけの魔力保持者を、常に必要になるような場所にはしたくない。人身御供なんてナンセンス。だから始めから出来ないとしておけばいい。


妖精族も村の人たちも魔素が殆どない状態をあまり経験してない。肌で違うと感じているようだ。


カランキ村は精霊の森に近いだけに魔素はあるし、道中魔物は要るからね。あそこと比べても微妙かな。ボルテモンテに行ったことがある人は、わかるんだけどね。


ワイのワイのと話が広がる。気軽に旅が出来るような世界でないだけに、他の場所に行くのは気持ちが浮き立つのだろう。船に乗った時のままの興奮状態が続いている。みんな体力の限界が来て、倒れないでね。


シャンス組に村の人と長組に妖精族と、分かれて大まかに島を回ることになった。結界が効いてない場所はかなり先だし、間違って出ても森の王フェンリルがいて危ない場所なんてない。まあ、運が悪ければ、鳥の糞を掛けられるぐらいだ。


いってらー


手を振って皆を見送ったら、あたしはサクレの根の元で一休みだ。

テンションが高いみんなに当てられて精神はゴリゴリと削られている。体はね、もうすぐ11歳の体なんだけど、精神年齢はもうアラフィフ。なかなか回復しない。まあおばちゃん根性で、図々しくなっても来てるけど。


だからね。肌で感じて。

どれだけ精霊村が優れているか。自分たちが恵まれているか。それらを別にしても外の世界に出たいと思えるのか。

詳しい話はわざとしない。話したところで経験したことがないことを理解するのは無理だし、納得しないと思う。だから色々と体感してもらおうと思っている。果実水ポーションはないから疲れてもすぐに回復しないことや、魔力の無駄遣いが出来ないこと。精霊とのコミュニケーションの取り方も変わること。食べ物も今まで以上に品質が落ちることなど、経験してもらいたい。


『マリー』

ん?

シエロ?

そう言えば最近村で姿を見てなかった。確か神様のお使いに行ってくるって言ってたような。


『そう、僕。ちゃんとお仕事してたんだよ』

『偉い!頑張ってるんだ』

『うん、頑張ってる。でね、神様からの伝言』

『伝言?』

『近く大きな地殻変動があるから、気を付けて』

『ん?地殻変動?』




「―――!それって大きな地震があるってこと?!」


『あ、うん。そう。瘴気が溜まり過ぎて魔王級が生まれる前に、ダンジョンを出現させるみたい。旧アルバンティス王国と聖女の森の真ん中ぐらいに大迷宮(100階層)が1つ、マグナミンスター教国とジャーラント王国の間に小迷宮(20階層)が1つ、そして何処かにダンジョン島が出来る』


なるほど?

『世界樹がダンジョン内でいい感じに育ってきたのもあって、精霊王の復活も近い。瘴気が増えすぎてまた悲劇が起こらぬうちにと』


あ、うん。これがゲームの世界なら「魔王」「ダンジョン」とかイベントだ!って喜ぶところだけど、現実世界でそれを聞くと、体に重しが乗った気がするよ。

知っているのと知らないでいるのとでは対策も違う。特にこの世界で地震とかあったら、崩れる家も多くなるのではないだろうか。

聖女の森の近くは人が住んでないからいいけど、マグナミンスター強国とジャーラント王国の間なんて大丈夫?あ、だから小迷宮?


『ご名答!壁が崩れるぐらいになる予定みたい』

それでも運が悪ければ下敷きになることもあるのだし、精霊村ほど丈夫じゃないことを知ってるから、何とも言えないね。

『ちゃんと教会に神託があるよ』


じゃあ、何とかなるね。100人超えた村には必ず教会があるし。

そう考えると教会って凄い。

ぜひ頑張って欲しい。


『マリー、人ごとみたいに言ってるけど、大迷宮は聖女の森の近くだよ?』

「そうだね」

『成人したら、マリーが攻略することになると思うよ』

「なんで」

『ドラゴンの友でありフェンリルの共存者、『精霊の愛し児』『精霊王の愛し子』『世界の申し子』であるマリーじゃないと攻略できないと思うよ』


「ア“ァ――――――――――――――――――――――。知ってる」





読んで頂きありがとうございました。

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