172.妖精族の引っ越し?それとも…。
妖精族との話し合いの末、獣人族とドワーフ半分は精霊村に住むことになり、他のものは精霊島セカンドに引っ越すことになった。
獣人族が精霊村に住むことになったのは、ボルテモンテから引き取った子供たちがいるからと、新しい島では糧にしている狩猟が出来ないからだ。
ドワーフは予想通りというか、地の精と新しい物を作ることが楽しくて仕方ないのと、酒だ。半分は新しい村をつくる為に行く。そのドワーフが家を作る為の寝泊まりする家は、島のセーフティーネットとしてサクレの横にもう作られているので問題ない。
本当なら全員が精霊村に住んでくれてもいいのに。場所は無限大に広げられるし、村人も問題ないと言ったし、お互いの見聞を広めることが出来る。
それでも彼らが決めたことは応援したい。
「本当に、我儘を言って申し訳ない」
「ううん。ヨルじいたちが協議した結果でしょ?問題ないよ。ただ本当に何もない島だから、始めは大変だと思うけど」
「何を言いますか!天敵がいないということだけでも、どれだけありがたいことか…自分たちの力で得たもので、聖女マリーに恩返しが出来たら」
「大丈夫。誰も迷惑かけられたなんて思ってない。あの国のあの街は聖女の森になったし、その近くの山頂はドラゴンが住んでるから誰も近寄らない。それに一番はみんなを苦しめたあの国は、もはやなくなってるから」
「………はああああああぁぁぁぁぁぁぁあ?」
「あれ?言ってなかった?
―――言ってなかったかも」
「え、あの、えっ?」
「うん。そうなったのは、ここ数カ月の事なんだけどね。あり得ないよね。事態が動くのが早すぎて、あたし自身が追いついてないというか。美味しい物を求めていただけなのにね。あの国の自業自得であって、あたしが何かしたわけじゃないから安心して」
「あ、だからね。精霊村に住んでも誰にも迷惑かからないから。というか、ドラゴンたちとフェンリルそして精霊がいる村に戦いを挑んでくる馬鹿はいないし、いたら間違いなくそこが亡ぶから安心して」
「いやいやいやいや、どこに安心できる話がありましたかの」
「精霊村は安心って話っしょ?」
「―――だのぉ」
「まあ、ヨルじいさんが戸惑うのもわかる。あの国が今更何かをすることはない。それを心配して引っ越すと言うのであれば、止めてくれ」
「そうじゃのぉ」
「向こうにいつでも住めるように整備しておくのも悪くはないと思うよ。精霊村の者だって一度は外での生活をした方が…―――訓練所にしてもいいのだし」
「ああ、そうだな。…まああそこも普通の村よりかなり豊かだが、精霊村からすぐに出て冒険は危ないから一段階経て外に出るのもいいか」
「いいと思う。精霊との付き合い方も違うから勉強になるし、あの島広げて結界が効かない場所を増やしてもいい」
「だからね。ヨルじい。みんなで精霊島に行ってみるのもいいし、精霊村に住んでもいい。自由に行き来してもいいと思うんだ」
父さんと二人で話している内に色んなことがスッキリしてきた。あたしも父さんも話してないことを忘れてたし、3年もたって気にしてるとは思ってもなかったから。情報の共有は大事だと言うのは、前世では鉄則だったのになぁ。この世界で自由に動けることに慢心してたかも。
ちょっと反省。
ちゃんと日記というか議事録みたいなものを書く?続ける自信がないな。優秀な秘書を雇いたい。
パソコンを作ったところでネット環境はないから意味ないし、作るなら近年では忘れられていたワープロ?
そんなことを脳内で考えていたら父さんとヨルじいが話を纏めていた。
「マリー、精霊村もいずれこの中だけでは難しくなる」
「人口という点では問題ないけど、昔の方が良かったと思える人もその内出てくるよね?」
「間違いないな。だから陸続きでない分行き来をどうするかが問題になるが、垣根をなくしておけばいい」
「住む場所が違うだけという認識なら、村でも島でも気にしないで往来が出来るってことだね?」
「そうだ」
「多分、行き来は問題なく出来ると思うよ。海からにするか、ダンジョン中から行くかになると思うけど」
「ダンジョン?!」
「そう、ココアが頑張れば海の地下まで伸ばせると思うんだ。安全だけど時間と体力が必要なコースと船があるから海で行き来するコース。現実的なのは海だけど」
「ああ、船があったか!」
「うん。頑丈な船がね。あっちである程度住む場所が出来たら、一度村全員で見学に行ってもいいかもね」
垣根がなくなるから、船乗り場も作るし、島も大きくして狩りが出来るようにするし、防衛力もガンガンあげちゃうよ?
ちょっと楽しみになってきた。
読んで頂きありがとうございました。
ブックマーク&評価も増えてて、大喜びです!
仕事のピークがやっと超えたので、これから少しは書く時間があるといいな。