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171.精霊とお見合い

精霊島セカンドに妖精族が引っ越しをすることが決まって間もなく、精霊たちとのお見合いパーティーが開かれた。大人と子供関係なく契約をしたいと思った人はだれでも参加が可能だ。

場所はサクレと精霊の泉がある場所。まあ、あたしの家の前だ。

ここじゃないと魔力消費が持たないんだよね。ここならいろんな場所から魔力の補充が出来るし、精霊王の補助があるから。


精霊達が気に入るだろうものをもって村の人たちは参加してるんだけど、やっぱり人気者は偏る。

モテモテの子供たちが居れば、ポツンと一人で佇んでいる人もいる。これは世界が変わっても、見合いパーティーは同じなんだなと思うとちょっと涙が零れそうだ。

精霊たちが気を使うなんてことはしないから、そこそこ辛辣な言葉に感じることもあるけれど、それは社会に出れば幾らでも聞くような言葉で、真実。精霊は嘘が付けない分、どこまでもストレートでチクリと心を刺す。


『なんでてめえみたいなのと』

『俺たちは駒じゃねえぞ』

『お前はどうなりたいんだ?強くなって、どうするんだ?』

『いい魔力だ』

『それ、俺にくれる?』

『あんたあっちへ行ってよ。この子は前からあたしが目を付けてたの』

『え、あたしだって、この子がいい』

『頼りない奴。仕方かないから、俺が手伝ってやる』


うん。自由だ。

みんな頑張れ!


ただ、このまま終わるとわかっていた結果のままで終わる。さて、どうするか。

まあいえることは、精霊にも性格というものがあって、素直な子、天邪鬼な子、頑固な子もいる。だから気になってるからこそ、あれこれ声を掛けているということに、人間側が気付いているかということだ。


だって、興味がなかったらこの場にいないし、広場にあるご馳走に行く。

お互いが分かってないんだろうな。

仕方ない。反則技になるかもしれないけど、やってみないとわからないし。


「みんな―――。アピールしたい人間たち。今から配るチョコに思いを込めて、契約したい精霊の元に行ってね。精霊さん達も契約したいなと思ったら受け取って」


こうなったらバレンタインデーの告白みたいにしてしまえ。答えはすぐに出るし、チョコが食べたいから契約するなんて言う精霊も出てくるかもしれないけど、元々魔力の相性が悪ければ契約しようとも思わないだろうから、それもありかと思う。合わないと本気で思えば、契約は解除できるし。

そう、契約解除が普通にできるのだ。これは精霊王から教えてもらった。だからこそ、お互いが大事に思わないと続かないのだそうだ。今まで契約解除になった人が居なかったから、知らなかったよ。

結婚と離婚との関係に近いかも。


ただ現在ある人間がしている契約(魔導具と魔術)だと、どうやら従属契約になるらしく、契約解除は人間だけしかできないという最悪な物だった。人間のエゴで振り回されるとか、そりゃ関係にヒビも入る。仲間が傷つけられるとかありえない条件の契約など、精霊が人間から隠れるようになるのもわかるってもんだ。

胸糞悪いから契約の仕方は省略するけど、酷いもんだ。奴隷狩りと何も変わらない。


今回のことで精霊たちの本質も知ったし、これから契約しようとしている人は、精霊とのまた関わり方も変わっていくだろう。

え、契約の仕方?

簡単なこと。

「契約を結んで」「相棒になって」真摯にそう願えばいい。相手が頷いて、名前を付けて、相手が自分の魔力を受け取ったら契約完了だ。

子供たちなんてもっと簡単だ。精霊たちと言葉は交わせなくても、話しかけて遊んで一緒に笑って。一緒にいることが多くなった精霊に「友達になって」と言えば、喜んで精霊たちは子供たちに触れていった。逆に一緒に居たいと精霊自らアタックした子もいる。「名前を付けろ!」って喚いていた様子は、可愛かったね。声が届かないから、うちの子達に通訳を頼んだりしてさ。

因みにうちの子達はあたしと契約したことで中精霊になったから、初めから誰とでも話せたよ。話をする人を選り好みしてただけで。


チョコを配り終えて様子を見る。オドオドしながら精霊にチョコを渡しに言った子を見る。どうやらチョコを理由に(天邪鬼)、契約をしてもいいなんて言っている精霊もいる。嬉しいくせに。ある意味似た者同士だからね!

『分かってるよ』

そう念話を寄こしてきたのには、思わずくすっと笑ってしまった。こっちを睨んだから、へそを曲げないように必死に笑うのを我慢する。まあそれも精霊には伝わってるんだろうけど、人間側が気付いていないからいいのだ。

『ほら、早く受け取ってあげないと、泣きそうじゃんか』

そう念話で伝えれば、慌てて素直に受け取っていた。

契約したい子を泣かしたいわけじゃないのだ。


周りを見渡して様子を見れば、鑑定で仮契約と出た人がいる。

仮契約ってなんだ?

ああ、なるほど。

魔力が足りなくて、地の精と火の精両方が難しいのか。どちらも一番がいい!って思ってるから仮契約してて、魔力が達したら本契約。そんなことも出来たんだね。

テーレ凄ーい。名裁き!


酒のみの大人はそれだけで水の精と相性がいいらしく、魔力が少なくても契約できている。これこそ、相性ってやつだ。

何とか希望している人たちは全員成功したようで良かった。今後は自分たちの努力で補って。


あたしがするのはここまで。

後は父さんたちに任せて、ご飯食べよう!

明日は妖精族との打ち合わせだ。




読んで頂きありがとうございました。

仕事のピークは…まだ先。

寒いので皆さま体調に気を付けてくださいね。


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