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アラフォー女転生 卵ガチャで目指せスローライフ! 【完結】  作者: 桜田 律 
第一章 5歳 スキル『ガチャ卵』の真相
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16.ガチャ卵と不思議茸

ガチャ卵は朝起きても変わらなかったが、昨日寝る前に魔力を流したせいかあたしの魔力に反応するようになった。

「おはよ」と声を掛ければ、ぽよんと跳ね。

「いい子でまってて」といえば、置いて行くのかとブルブルと震える。

それでも持って歩くわけにもいかず、置いて行こうとすると転がって追いかけようとする。

危うくベッドから落ちそうになり、テーレが抱きかかえて止めたぐらい不思議な動きをした。


触ったけどゴツイ卵の殻って感じなのに、そんなに動いて割れないのかと心配になる。それとも動いて割れるから生まれるのだろうか?

まるで卵という動物みたいだ。


結局埒が明かないので、シーツに卵を包んで風呂敷のように背負うことにした。

一気に老けた気がした。5歳児なのに。

さて、担げるのか!

よいっしょ。

ウム。ベッドにお尻を突いた。

テーレに背中を押してもらって立つことが出来たのでとりあえず歩けるが、コケて落とさないかと心配になるレベルだ。

卵の重さを軽くできたらいいのだけど、そうもいかないし。


精霊たちと協議の結果、あたしが背中に背負っているときはグンミが風呂敷を持ち上げて、卵の重さを感じさせないように飛んでおく。

降ろすときにはリュビがあたしの代わりに風呂敷の卵を背負う。

精霊って力持ちだよね。


テーレはこの村全体に簡易な結界を張ってもらうことにしたので、頑張ってもらう。

本当はテーレに魔力を渡して始めから強固なものを張りたいが、そこはないものねだりしてもダメで、魔力は有限なのだ。流石にまた寝込みたくはない。

今日はお酒造りを手伝うのだ。


「マリー?」

「ごはんたべる」

風呂敷を背負ったマリーに一瞬何を始めたのかと眉をひそめたが、精霊たちが一緒にくっついているのをみて、卵を背負っているのだとわかったようだ。

いつものパンとスープ、そして果実水ポーションでパワーを充電する。


固めのパンも好きだけど、柔らかいのが食べたいな。ガラスが出来たら酵母を作ってみるのもいいかもしれない。怪しげなものになりそうなら、グンミに浄化掛けてもらえば、きっと悪い菌だけ死滅させてくれるに違いない。

スープは胡椒が欲しいから、テーレが手が空いたら胡椒を聞いてみよ。きっと思いもよらないものが胡椒だと思う。時間があれば醤油もちゃんと作ってみたいし、味噌も気になる。


もぐもぐ。

ぐびぐび、ぐびぐび。

この果実水ポーション凄いね。

グンミがえへんとばかりにぽよんと跳ねる。


精霊の泉の水がどれだけ凄いものなのか改めて認識した。これで作ったビールって・・・。

今考えても仕方ない。難しいことは大人に任せて、あたしはあたしで楽しむのだ!



卵を背負って外に出た。

家の中にいても外の喧騒が聞こえていたぐらだから、想像はしていたがそれ以上だった。

「すごい!」

いつの間に蔵なんて建てたのだろうか。

仕込みが終った8つの樽を発酵させるために、荷車で冷所に運ぶところだった。


どのタイミングで熟成させればいいのか素人のあたしにはわからないので、言われたらでビールはいいでしょう。

果実の方は既に漬け込みが終っているらしく、一カ月ほど放置したあと熟成させるからその時によろしくねと近所のおばちゃんに言われた。


なるほど、村人の総力を挙げるとこんなにも早く進むのか。凄いなー。

では!お酒造りには今すぐは手が要らないということなので、畑に行って調味料とかしょうゆにする豆とか色々あるかもしれないから見てみよう。


てくてくと畑に回ると森の精がふわふわと飛んでいた。

あたしを見つけると風呂敷の周りに集まってきて、卵にあいさつするように触れていく。

精霊たちみんなが気にする卵って、なんだろうね。

・・・まあ、いいか。まだ生まれない卵よりも今は収穫だ!


ブルーベリーのような大きさで黒くて堅そうな実、大きさは違うけど多分胡椒のような気がする。大きいから2粒ほど採って後ですり鉢で潰してみればわかるでしょ。胡椒なら、今日のお料理に入れてもらおう!


芋の蔓のように地面を張っている下に成っている、大人のこぶし大のピーナツのような殻。凄く気になってたんだよね。蔓の先から殻を幾つかとって、とりあえず割ってみる。

1粒1粒が大きくてソラマメのようだけど、多分大豆。豆には違いないから良しとする。

今日はこの殻をとりあえずとれるだけとってみよう。


卵をリュビに任せて殻を取っていたら、森の精がわらわらと集まってきて砂糖と同じように収穫を始めた。

これならすぐに集まるかも。


「グンミ、おけおねがい」

「僕に抜かりはないよ」

収穫を始めたあたしをみて、どうやら持ってきてくれたらしい。

「さすがだね!」


桶の中が殻で埋まっていくのを見ていると、果実の根元辺りに茸が生えていたのを見つけた。

「キノコ!」

美味しいだし汁になる!とすぐに駆け寄って取ろうとしたが、果たして食べられるキノコなのだろうかと身構えた。

キノコにあたると危険なことになるのは、前世でよく聞いた。わからないものはとらないのが一番なのだが、都合よく考える。テーレやサクレが危険なものを畑に生やすわけがない、と。

もしもとって危なければ、グンミに浄化してもらえばいいよね。


見た目は松茸に近いが傘は3倍以上あり、中に何か詰まっている感じだ。

ツンツンと突くとプルプルと震えて芳醇な香りが漂う。なにこれ?!地面にまだ埋まっているのだから、生きてるのはわかるのだけど、茸よね?

見た目茸のこの香りは、食欲をそそる。すぐにでも火で焙って醤油をつけて食べたくなった。これは早く醤油を作るべきでしょ!

どうやって食べようかとレシピを思い出していると、結界を張り終えたテーレがやってきた。丁度いい、茸のことは聞いておかなきゃ。


「これ、たべられる?」

「茎みたいな白いところは食べられるよ。傘のところは食べられない」

「柄の白い所だけ?」

「そうだよ。傘の中身は万能麹だから」

「こうじ・・・?」

「美味しいお酒造りや、しょうゆ?作るのもいるでしょ?」


なんと!見たこともない不思議な茸の傘は万能麹。

素材に混ぜるだけでいいという、素敵素材。こんなのが出来ていたなら、ビール仕込むのが早かったわけだ。

腕を組んでうんうんと納得していたら、醤油だけでじゃなく色々活用が出来ることを思い出した。

これは試してみなければ!

あれこれを思い出しながら、まずは茸狩りだと木の根元を探し歩くことにした。



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