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167.精霊島ファーストに行こう!

ぼんやりと揺らめく海面を見ていると、タラサが小さく鳴いた。

念話で話せるはずなのに、ただ鳴いた。

その発せられる音で、数少ない仲間に深い悲しみと仲間に会えた喜びが深く入り混じっているのが分かる。

リュビの時に同期した感情そのものだ。

この把握しきれないほどの広い海の中で、大精霊となったタラサの呼びかけに応じた海の精は、30も満たない。


「タラサ、」

その呼びかけに『はい』短い了承の言葉が返ってくる。

ファーストとセカンドの距離は海の精にすればそんなに遠くないはず。だからファーストでみんな魔素をしっかり補ってから、また仲間を探そう?

ここまでも体力と魔力をかなり使ったはず。出来るだけ早く補ったほうがいい。だけど残念ながら安全第一に作られたセカンドには、ほとんど魔素がない。サクレの結界に守られた、ファーストに行く方が効率よくみんなが回復できる。


仲間の様子を伺いながらタラサは頷き、そのことを仲間に説明し船に付いてこさせることにした。

流石に海にいる子たちをあたしが転移は出来ないし、回復薬を上げることは難しいので、それが一番手っ取り早いのだ。


舟についているナビでファーストまでの道筋を出し出航させれば、並走したタラサが『行くよ!』と号令をかけた。

乱れることのない泳ぎで28頭?の精霊たちが動く。

それはまるでショーを見ているかのように、綺麗だった。だけどよく見ればあちらこちらに傷があるのが分かる子もいて、ファーストに付いたらアリアにも手伝って貰って、杖で一気に治そうと決めた。


その様子を見ながら航海を続けると、明らかに遅れ始めた子がいる。体も他の子たちよりも一回り小さく、船からだと目視できるかどうかの大きさだ。ファーストまで持たないかもしれない。


「母さん、一人だけ限界に近い子がいるから治してくる。この表示の案内通りにこのハンドルを動かすだけだから、お願いできる?」


「その子、私でも治せそう?」

「あ、そうか。シャンスに乗っていけば大丈夫。これがアリア特製の回復薬。顔を出している時にかけてあげるだけ」

「わかったわ」


掛けるタイミングを逃すかもしれない可能性も踏まえて、5つほど渡しておいた。

「行ってくるわね」

「うん。シャンス、母さんをお願いね」

『うん!』


母さんがシャンスと掛けていくのを見ながら、最悪は世界樹の回復薬を海に垂れ流してもいいかも?と思った。海の中にサクレが植えられないのだから、七色草が生えるまでやってもいいかもと。タラサが弱っている時に七色草を食べさせて色々回復したのだから、自然にみんなが元気になるにはいいのではないかと思ったのだ。


あの世界樹の回復薬なら、七色草生えてくると思うんだよね。どれだけ必要なのかはともかくとして。


『そんなことしなくても、ちょちょいのちょいって、やってあげるわよ』

「アリア!」

『もっと早く呼びなさいよね。といっても、ファーストでやったほうが確実だから、判断は間違ってないわよ。七色草は間違いなく生えてくるけど、他の生物にも影響出ちゃうからね』

「あ、やっぱりそうなんだ」

『生態系、間違いなくおかしなことになるから、ファーストはサクレをもう1本植えて、確実に結界をして魔素の流出を防いだほうがいい』

「うん。わかった。ファーストに着いたらお願い」

無事母さんは小さな海の精に回復薬を掛けることが出来たようで、少しばかり大きくなった体で元気に泳いでいた。

心なしか水の精ルコも嬉しそうに見える。


『もちろん、嬉しいよ』

グンミがぽよんと跳ねながら答える。

「そう、良かった」


間もなくしてファーストの海域になる。魔素が豊富なせいか段々と魔物も強くなっているのが感じられるが、タラサがなんなく倒して前に進む。

海の底に沈んでいく魔物を見てしまうと、ちょっともったいないと思ってしまうのは、もう性だとしか言えない。リュックにはまだ余裕があるし、幾らでもこれから獲れると知ってても、見たことのないモノを見てしまえば、どんな味がするのかな?と思うのは、仕方ないと思うの。

長も、シャンスもそれなりに食べるし、あたしも食べたいし。


そう思っていたらタラサが倒した魔物を後続の海の精が咥えて持ち上げてくれた。どうやらそれをシャンスが仕舞うことにしたらしい。何の魚の魔物?なんて見ている時間はないぐらいの数。

どんだけ、集まってんの。


『これからはこれだけの海の精がいれば、魔素は安定するから半年もすれば穏やかな海になると思うわよ』

「そうなの?それなら良かった。魔素タップリで住みやすいと思ったのに、ちょっと外に行ったら魔物だらけなんて、シャレにならない。タラサぐらいになれば、負けないと思うけどね」

『あ、大丈夫よ。もう少し大きくなればBランクの魔物何て、相手にならないから』

「え、そうなの?Bランクのテラバードに監視されていたようだからと思ったんだけど」

『魔力吸われ続けていたからね。大きくなれないし、魔法も発動しない』

「あ、そうか。そうだよね」


そんな話をアリアとしているうちに無事着いた。

さて、もうひと踏ん張り頑張ろう!




読んで頂きありがとうございました。

ブックマーク&評価、嬉しいです。

ちょっと寒かったので、風邪ひきました。更新不定期です。


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