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159.やらかしたことの報告

昼食を食べ終えた後、リュックの中にある米を確認すると販売できるほどの量はなかった。まあ自分たちが食べる分しか持ち合わせてないのだから当然だろう。ならば一度村に帰るかと思った瞬間、今日は朝に出てきてから一度も帰ってないことに気が付いた。

ヤバい、ヤバいよ。色々やらかしているのに、遅くなった。

「一度村に戻ってから、また来ますね」


笑顔になり切れてない、子供らしからぬ表情になっているだろうと思いつつ、手を振って戻った。


「マリー遅くなるなら一度は戻りなさい」

待ち構えてた母さんに戻った瞬間お小言を貰うが、自分が悪いので甘んじて受け取る。

素直に反省しながら頷いていると、怪訝な顔をする母さん。

「あなた、なにかやらかしたの?」

「素直に反省してるのに」

「だってあなた、いつもは返事ばかりしてすぐ違う話をして誤魔化そうとするじゃない。それをしないということは、やらかした自覚があるからでしょ?」


Oh

見抜いてたか。

「で、なにをやったの?」

流石肝っ玉母さん。

「出来れば父さんとパオロさんにも聞いて貰った方がいいかも」

「はぁぁぁぁ。そこまでのことをこの短時間でしたの」


そう言われて見れば、そうだね。普通ならあり得ないことが出来てしまうから、流石神の御業転移だよ。

シエロが胸を張ってそうでしょ、そうでしょと頷く。


「転移は確かに凄いけど、そうじゃないわよ」

あ、問題点はそこじゃないかぁ。わかってはいるんだけどね。残念ながら、誤魔化されてはくれないね。

「バレたか」

「まあ、そういう言い方するのなら、既に問題点は解決してるんでしょ。今から二人を呼んでくるわね」

えへへ…愛想笑いをしながらどう伝えようかと今更ながら考えた。

ありのまま伝えるしかないのだけど、よくよく考えたら凄いことやらかしてるよね。10歳の子供の分際で、国を揺るがせる事件に首を突っ込み過ぎてるよ。

さて、どこから話したらいいのか。


「マリー、何をした?」

リビングの椅子に座り、考える人になっていたあたしは顔を上げた。

二人がテーブルに着くのを確認してから話し始めた。

「経緯から話した方がいい?結果から話した方がいい?」

「解決しているなら、結果から教えてくれ」

「わかった。向こうはまだこれからだけど、あたし的には解決してるから結果から話すね」

空気を大きく吸う。


「ジャーラント王国の国王がアルバンティス王国と繋がってた奴に、毒を少しずつ飲まされてたので、…治した」

「なんじゃとぉおおおお」「また、壮大な…」

パオロさんは自分がいた国のことだから大声で叫び、父さんは呟くように言葉を発した。相反する反応にどちらに対応するか悩んだのは一瞬。目が血走っているパオロさんには、ちょっと難しそうだから父さんに話す。


「事の始まりはアシルさんの所に魚が多くなったから卸しに行こうと思ったの。町を指定して転移すれば良かったんだけど、人を想定したからね。そこに飛んだんだ。で、アシルさん盗賊に襲われてたから助けに入って悪い奴たちは捕縛した。その悪い奴の中にアシルさんと同行していた貴族がいてね。真っ黒黒だったからそのまま王都に転移したまでは良かったんだ。そこにやってきた衛兵に盗賊もろとも渡したところであたしの仕事はいったん終了した…はずだったんだ。帰ろうと思ったらシエロが、マーティンさんが困ってるというのでそこに行けば、その真っ黒黒貴族に脅されて精霊村から買い付けたものを奪われそうになってたから、どうにかしてと訴えてたら、国王が返事してくれた。良いよーって言ってくれたまでは良かったんだけど、国王さんがヤバいぐらい顔色悪くてね。毒に侵されているって知ってしまったら放っておけないでしょ?アリア呼び出して治してもらったよ。ついでに真っ黒黒貴族も追い込んでおいた。今尋問中じゃないかな?」


「突っ込みどころが分からない」

「いやぁ―――、あたしも何でそうなったのか、全く理解できてない」

「だろうな」

「うん…」


やたら部屋が静かだなと思ったら、パオロさんの口を母さんが水で塞いでた。

「母さん、パオロさん息大丈夫?」

「鼻は塞いでないわよ」

だけど叫ぼうとして頭に血が上ったままだから、血管浮いてるよ。

水を除けようともがいたからか、塞いでいた水が無くなるとそのまま勢いでテーブルにぶつかった。

かなり痛そうなんだけど。

そっと果実水ポーションを出して目の前に置いた。


「死ぬかと思った」

まあ、そうですよね。国の一大事を冷静に聞けないよね。あたしのやらかし度合いが大きくなるたびに、落ち着き払う両親が凄いのだと思う。精神安定の付与が効いてるのかな?


「パオロさん、落ち着いた?」

「ああ、まぁそうじゃな。…国王様は、無事なんだな?」

「うん。世界樹の巫女大精霊であるアリアが治療したんだから、ピンピンしてると思うよ」

「なっ、世界樹?」

「ああ、気にしないで。取りあえず元気なはず。国内が色々バタつくと思うけど、盗賊に襲われる心配は格段と減ると思うよ。内通者居なくなったから」

「おお…そうか」

「うん、そう」


ああ、クロが落ち着かせてくれたのか。この際だからパオロさんにもバングル渡しておこうかな。きっとこれからも色々あると思うし。いきなり心臓止まったらダメだからね。





読んで頂きありがとうございました。

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