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157.ここまで来たら、なるようにしかならない


アシルさんがあっけに取られて固まっているうちに、国王と呼ばれる青年に向き合った。

「毒?呪いではないのか?」

アリベルト ・カリストラトフ・ジャーララント国王が、突然湧いてきた子供に猜疑心を抱いていないことに驚く。こんなにもすんなりと人の言葉を鵜呑みにして大丈夫なのだろうか?

そのことについて説教したくなるのを一先ず呑む。治療は出来るだけ早いほうがいい。

『アリア、お願い』

脳内で強くアリアを呼ぶと、呟くようにして了承してくれた。

『仕方ないわね』

「こちら巫女大精霊、アリア」


突然現れた精霊に周りが一気に騒めく。

「精霊・・・」

「本当にあの子供・・・あの方が聖女・・・」

「やっぱりエードルフ様が手引きを・・・?」

「アシル様の証言が正しいと証明されたのではないか?」


その言葉に耳を傾けながら、アリアが国王に触れ体の中の毒を浄化し始める。

「バカな!精霊などいるわけがない。亡霊に騙されるな!その子供こそ邪悪な・・・」までを叫んだ悪党エードルフは、シエロによってジャッジメントを受けていた。

王城全体を包み込む激しい光と共に、つんざくような激しい音がエードルフに直撃した。


『神の御使いシエロが仕える主が邪悪?ならばこの国にとってテロリストであるお前は、どういう存在だ?アルバンティス王国に通じ、ツェルスト公国の首都の侵攻を唆した重罪人よ』

シエロがこんなにも威厳ある言い方が出来るとは思わなかった。流石神の御使い。


『まあ、今はもう聞こえてはないと思うけどね』

疲れたと溜息交じりにあたしに念話を送ってくるあたりは、あたしの知っているシエロだね。頑張った、偉い!擦り付けてくる頭をナデナデしていると、呆れた声が頭に響く。

『終わったんだけど』

『あ、ごめん』

念話でアリアに返した後、国王を鑑定した。完全に毒が抜け身体は正常な状態になった。そのことがみんなにわかるように声に出した。


「巫女大精霊アリアによって、毒は完全に体から消えました。毒によって虚弱だった体はこれから良くなっていくことでしょう」

その言葉に周りのざわめきが大きくなった。良かったと喜んでいる者と、目論見が外れたという顔をしている者がいるけど、そこはみんなで解決してもらおう。


「なので、そこに転がっている人の屋敷とか調べた方がいいんじゃないですか?」

(あと、国王を見ていた医者と、側室さん?)という言葉は引っ込めた。

なんでか鑑定さんがレベルアップしてるし。国王に毒を飲ませた人のリストが出てくるとか、怖いよ。

あ、見たくないと念じたら消えた。念じたらどうやら色々見えるらしい。


「アシルさん、後はよろしくお願いします」

「あ、マリー様!」

「なんでしょう・・・」

「ありがとうございました」

「えーと・・・その、色々と振り回してしまってごめんなさい。急展開すぎて・・・大変ですよね。ここまで介入する予定は全くなかったんですけど。アシルさんに卸したい食材があったから探してたら、知っている商人さんが巻き込まれてて。国王様みたら病んでたから、元気になって国を立て直してほしくて・・・まあ連鎖的に」

「・・・そうでしたか」

「今更ですけど、これ以上国に係わる気はありません。というか、子供のあたしにはもう一杯いっぱいです」

「はい、かしこまりました」


本当は納得できていない人の方が多いのだろうけど、どうやらアシルさんは神父としての地位が高かったようだ。神の御使いと聖女であるあたしの意思を尊重するという姿勢を見せたことで、それ以上の追及はなかった。何となくだけどこの後神託があるんじゃないかな?と漠然と思った。


その場にいた者全員が一斉に跪いて、見送られる。こればかりは止めさせられないことをした自覚があるので、顔を引き攣らせながら、あたしはマーティンさんの所に行った。

やってしまったよ。怒られるという以前の問題だと思うけど、命に関わることだから仕方ないよね?

自分の中で何度も命大事にだからね、と言い訳しながら納得させた。


「マーティンさん、お待たせしました」

「本当に、大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫です。国王のお墨付きだし、ボルテモンテの町長アシルさんが見届け人になってますから」

あ、固まった。

一緒にいた護衛の人たちも一緒に、あたしが言った意味が理解できてないという感じだ。まあ、こればかりは仕方ない。ゆっくりと理解してもらおう。


「さあ、急いで帰りましょう!皆さん、集まって」

荷物が無くなった馬車の中は広い。全員護衛の人たちも含めて乗ってもらう。

何が始まるのかと騒めくが、それを知っているマーティンさんはワクワクとも恐れとも思える不思議な顔であたしを見てみた。一瞬だから大丈夫ですって。魔素が少ない場所なのでシエロの方が適しているので、シエロに転移をしてもらった。


ブレイロットの街にあっという間だ。



読んで頂きありがとうございました。

毎日が早いですね・・・。


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