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155.新しい魚の魔物とアシルさん

一日2か所までと決めて行くことにした。それ以上は体力がついていかない。だから行く場所を限定していく。一番初めはやっぱりあそこかな。

精霊島ファースト(仮)

今一番村の人たちが興味ある食材だしね。


三度目ともなると落ち着いたのか、あたしの気配を覚えたのか。襲ってくる魔物の数が今までで一番少なかった。前の1/10だった。少なッ。

写真を撮る余裕さえあった。無音だから何枚撮れたのかよくわからない。(音で魔物に気づかれるから)

確実に撮り終えたモノから倒していけば、いい感じになった。

黒真珠がとれる貝が今回いなかったので、前回バラバラになった残骸を餌のように巻いておびき寄せた。

すると今まで見たことがないモノまで砂の中から出てきた。

ん?ヒラメ?カレイ?


鬼エイ・・・尻尾に猛毒あり。刺されると麻痺状態になり、そのまま鋭い歯で捕食される。

      その分、刺身・唐揚げ・煮つけ・ムニエルと幅広く食せる。頭と尻尾を切り落とすこと。


これは初だ!まず激写してからの、尻尾と頭同時切り落とし!2匹リュックに収めたところで、浜辺は終了。

海の中でちょっと電気を流して浮いてきたものを写真撮っては、リュックに仕舞った。海の中での初物は鬼イカだった。


鬼イカ・・・口から吐き出す墨が毒。かからないように気を付けることと、あの足に巻き付かれると捕食されるまで放されることはないので要注意。皮をはぐ必要があるが、生食以外は食することが出来る。


生がダメか…。残念。

だけど美味しそうだからこれもお土産にちょっと多めにとって帰りたいな。

5匹目を取ったあたりからシエロに次行かないの?と言われて我に返った。

目的を間違えてた。


次に図鑑なのだからと、子供たち向けに小さきものを写していくことにした。村の中にある野菜たちは後でもいいので、見たことのないものがいい。ならば一番行く可能性があるボルテモンテの町の市場がいい。ついでに色々卸していこう。


アシルさんのところへGO !


あ!

その声をかき消すようにシエロと共に、精霊島を去った。

絶対にわかってて転移したよね!シエロ!

『だって、マリーアシルさんのところって言ったもん』


何が言ったもん、だ!で、一体ここどこよ。

うげっ。襲われてるじゃん。何とか勝ってるけど、護衛負傷してるし。

どこの誰か想像できるけど、捕縛してしまえ。

「アシルさんの護衛の皆さん、少し下がって!」


「捕縛!」


木の根が地面から生えてきて、盗賊たちをその場に縛り付けた。

サクレが増えたことで力が大きくなったというテーレの言葉が蘇る。間違いなく敵らしき者が地面に縫い付けられていた。そしてさらに凄いのが、森の中からも呻くような声が聞こえたことだ。どうやら第二陣がいたらしい。

お見事!

なぜかシエロが踏ん反り返っている。

『僕も能力も加算されているからだよ!』

ああ、そうだよね。ごめん、ごめんって。シエロが凄いことはわかってるからね。凄いことが当たり前なんて、流石だよね!


『そうでしょ!』

「うん」

身内で疲れている場合じゃないんだけどね。


「これはどういうことだ!」


縛られて激おこの人が一人。馬車のすぐそばでもがいてて、エラそうな服(成金)を着ているということは、国の重鎮さん?これに捕まったということは、悪者だし仕方ないよね。


あたしに対して警戒態勢だった護衛達が、アシルさんの声で一気に跪いた。

「聖女マリー…様!どうしてこちらに・・・」

「聖女・・・」

「この方が聖女マリー様」

うわぁー様とか、痒い。

だけどいずれ慣れないといけないのだろうな。


「あ、食材を持ってきたのもあったのだけど、市場を歩いてみたくて・・・だけど、アシルさんが王都に向かっていることを忘れてて、来たらこんな感じだったので」

「どのような理由であろうとも、助力感謝いたします」


アシルさんの深々した礼と共に、騎士たちは跪いたまま深く頭を下げた。

馬車の隣で罵倒を続ける貴族が煩いけど。

「面を上げてください。そして怪我をした方の傷を癒します」


跪いた騎士から血が地面に落ちるのを見たあたしは、怪我をした人がいたことを思いだした。急がないと。

「エリアヒール」


これで傷口は塞がったと思うけど、失った血は戻らない。このまま王都に盗賊ともどもシエロに転移してしまえば早いけど、その前にこの人たちに食事させておかないと帰ったら帰ったで仕事しそう。

ここまで関わってしまったら、村に早く帰っても遅くなっても怒られるのは同じ。だったら人助けしておくのがいい。


血の付いたままいたら魔物が来そうだし、まず全員浄化。

綺麗になっていく自分に思わず笑顔になる騎士様のデレ、頂きました。


「まず食事しましょう?料理のできる方いますか?」

目が泳いだ。

「機動力を考えての強行軍だったので、保存食ばかりで」

アシルさんが申し訳なさそうにしているが、事が事だけに仕方ないと言える。あたしも準備に時間をかけたくないから、焼くだけでいいよね。


赤みの肉がいいから暴れ牛の肉をだした。流石に自分だけ暴れ牛の肉とは言えないからね。後で鹿とヤギの肉を押し付けよう。


取り出したるは鉄板。そこに火を放って鉄板を熱っする。

そして一口大に切り落とした肉を一気に並べた。塩・胡椒を上から一振り。

その上からまた火を放てば、簡単なバーベキューの出来上がりだ。

自分の分だけ取れば、後は全部食べてもらえばいい。


「どうぞ」

あんぐりと口を開けている騎士たちから、アシルさんに注目が集まった。

「感謝いたします」

その言葉と共にアシルさんが肉を何キレか取れば、あとはもう・・・。静かなる戦いの火ぶたが落とされた。

タコ飯と焼肉という組み合わせでお昼を食べながら、瞬く間に鉄板の上からなくなった肉。

寂しそうになった顔をみて、この隊の隊長さんらしき人に、そっと肉の塊を出してあげた。

騎士たちは新しく出した肉と戯れてもらうとして、アシルさんと話をしよう。


読んで頂きありがとうございました。

いよいよ師走。

気分だけでも、忙しくなりますね。

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