152.精霊島訪問
島に着く早々父さんと母さんはなるほど・・・と村との違いを感じたようだ。それを聞いてエディも何かを掴もうと、探るようにオーラを漂わせた。
「あ、ボルテモンテの町に近い感じ?」
「そうだ。よくわかったな」
褒められてどや顔のエディを横目に、あたしも確かにと思った。昨日は島が出来たばかりで、まだ魔素の残照が残っていたのだろう。今は昨日感じたものが何処にもなかった。ただサクレの周りは常にテーレの気配を感じる。
『マリーの力が強いからね。契約している私たちも当然力が大きくなっているの。それによってできることが多くなり、更に力を増しているのが精霊の現状。結果マリーの力も大きくなっていると言えるのだけど』
テーレの気配を感じていたら、そのままサクレの根元に現れた。
「じゃあ、契約者によって精霊の強さは変わるし、契約している精霊もまた然り。ってことだよね」
『そうよ。だから精霊もこの人を主にという人と契約する。唯本来なら精霊が人間に興味を持つことは少ない。主とともにいるということは、ある程度自由も拘束されるから』
「それは主に戦争というものが絡むからだよね」
『そうよ。人間の欲だけの為に力を貸す精霊はいない。本来自由を愛する者だから』
『あ、勘違いしないで。精霊村に居る者たちは人間が好きよ。ほとんど人間と変わらない生活している者もいるぐらい。澱みのないオーラを持つ者ばかりだから、誰といても楽しいし』
「まあ、美味しいものにありつけるしね」
『そうね。それは否定しないわ』
まあ、それは精霊じゃなくても言えることだよね。誰だって利用されるだけの関係なんて嫌に決まっている。
「そうだな。ちゃんと愛情をかけていればお互い見えてくるものがある。今あるものに胡坐をかくのではなく、これからも仲良くやっていきたいな」
「うん。僕ミミとタカとも仲いいよ」
そう、最近エディは子供たちの面倒をよく見ているせいか、精霊達によく絡まれている。その中で最近気難しいと言われる空の精とあたしに次いで二番目となる契約をし、名をタカと名付けた。
これにより、エディは空間魔法所謂アイテムボックスが使えるようになっている。勿論魔力量によるから容量は小さいし、時間の経過もするので、食料品をいれたら当然腐る。重たいものが入るというだけだが、それでもそのスキルを使えるものが殆どいないのだから、かなり貴重な人材と言える。親密性とエディの魔力量があがれば容量はもっと増えていくし、時間経過もしなくなると思う。あたしがそうだから。
使えるのになぜマジックバッグを使ってるかって?
神様に貰ったものだし、まあ・・・利便性の問題。最近は何が入っているのかを考えるだけで、脳内にリストとして浮かんでくる。PCみたいに画面として目の前に出てこさせるやり方もあったけど、傍から見ていると寂しい子が一人遊びをしているようにしか見えないそうで・・・、止めた。
じゃあアイテムボックスは使わないのかと言われてたら、使っている。ここには基本ヤバいものが入っている。魔導車、洞窟にあったお宝(シンが管理していた物と盗賊のお宝)、リッチになっていた将軍さん、その他の側近さんたちの遺品にドラゴン。ヤバいでしょ?
ちなみにあたしは色々カンストしている感じなので、容量も無限大時間進まないゲームの中のような仕様だ。残念だけどまだリストが浮かぶほど進化していない。これを通常使うようになったら色々危険だと思うのだ。
話は逸れた。
自分の相棒とした精霊さんに限らず、みんな思いやって生きていこうって話だ。
島の中を簡単に案内する。まずは浜辺と昨日作った生け簀。
母さんが「これが村にあったら便利ねぇー」なんて、チラリとこちらを見る。
いや、作ってもいいんだけど水の問題かな。島を作ることが出来るんだから、ソルとグンミが協力すれば海水も沸くんだろうけど、そこは今後相談。
次に転移して行ったのは、サトウカエデがある場所、次に果樹園、以上だ。
「思った以上に整っているな。住む場所さえあれば問題ないだろう。家畜たちは持ってくる予定なのだろ?」
「うん、その予定。魔物もいなければ、小動物も今はいないからね」
「魚もあるし、食うには困らないな」
「うん。魔素がないから魔法は余り使えないけど」
「そこはどちらがいいか住む者に選んでもらえばいい。精霊村に住んでもらっても、こちらに移住してもらってもいい」
「うん、大丈夫そうならよかった」
早々に話がまとまると、時間を持て余したとばかりにエディと母さんがそわそわし始めた。嫌な予感がする。父さんと顔を合わせて帰ろうかと声を掛けたが、ちょっと待ったコールが掛かった。
「始めの精霊島はまだ見てないでしょ」
「うん、見てないよね」
「見なくても・・・」
「何を言っているのマリー。あなたがどんな場所に行くのか、確かめておかないと」
尤もらしい言い方だけど、暴れたいだけだよね?2割ぐらいは心配が入っているけど、絶対に大丈夫なことが分かっているだけに、8割戦いたいと言っている。
でも、まあ・・・最近は村にいるばかりだったし、運動兼ねていくのもいいかもしれない。いざとなればあたしが戦えばいいんだし。
父さんを見れば、大きな溜息一つ。
どうやら行くことになったようだ。
さて、今度はどれぐらいストックが出来るのかな。
「転移」
え―――、いつも読んで頂きありがとうございます。
ブックマーク、間違ってないですか?
大丈夫ならいいんですけど、ちょっと増えたのでびっくり。
取り合えず、更新!