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アラフォー女転生 卵ガチャで目指せスローライフ! 【完結】  作者: 桜田 律 
第一章 5歳 スキル『ガチャ卵』の真相
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13.この世界は摩訶不思議で溢れている。

起きたら、朝だった。

魔力が数値化して見えないだけに、このぐらい使ったら大丈夫というのがわからないから、手加減が難しいのかな?

あたし的には倒れたなーという感覚でいるが、5歳児で倒れるのが当たり前になるのはどうかと思う。

しかも断りもなく!

あたしの魔力!


起きたのが分かったのか、すぐにテーレがやってきた。

「テーレ?」

頬を膨らまし、キッと睨んでみる。


「ごめんね。てへっ」

可愛いけど、可愛いけどここで許してはいけない!

「みんなが喜ぶから、加減間違えちゃった」


まあ確かにあれはテンション上がったし、みんな嬉しそうだった。

5年間しかこの村にはいないけど、村人全員が集まることなんて秋の収穫祭以外でなかったように思う。畑はあるから食べるものはあるけれど、森は少し深い所へ入ると魔物が強くなりすぎて危なかったから、果物も中々食べられないし、お肉を食べられることなんて、収穫祭の時に牛や鳥を潰したときぐらいだ。


そう思ったらここは怒るのではなくて、みんなを笑顔にしてくれてありがとうというべきだ。

加減には気を付けてと一言付け加えて。


ありがとう、声にする前に外の声に戸惑う。


「おーい。そっちは刈り終えたか」

「あと少しだ」

「終わったら火の精様にもってけー」


ん?何を刈るって?

「麦!沢山できたの!」


ビールを作るよと村人が言ったから、それなら麦要るよね?という精霊判断で、空いている畑に麦を植え実らせた?

なにそれ。

季節完全無視だけど・・・。

でも、まあ今更か。

庭の畑でも季節感ないどころか、摩訶不思議な魔造作物が既にできている。村が潤ってみんなが元気になるなら、きっとそれは精霊にとって想定内なのだ。


それにしても村人たち、精霊たちがおこす摩訶不思議な現象に、あたしより馴染むの早くない?

頑張れ5歳児のあたし!

アラフォの常識ぽぽっいっと捨てて、考えるより幼児らしく一緒にはっちゃけるのだ!


―――ということで、ベッドの上で正座をする。寝巻のままとか髪が跳ねてるとか気にしないで、やっちゃうよ!

もふもふチートを夢見ることだけは譲れない。

ガチャが出来るかどうかなんて、試せばわかるのだ。


よし!

『スキル ガチャ卵』


視界が真っ白になって光の渦で何も見えなくなった。と同時に、あたしの魔力が一気に引き出されて行く。

なんでガチャしただけで、こんなに魔力無くなるの?今度は何の卵引いたの・・・。

あ、だめだ。確認する前に、おやすみなさい・・・。


「マリー、ありがとう」

テーレ?

そのまま意識を失った。





目を覚ますと、目の前には父、母、エディ。そして枕もとに真っ黒な卵と、その周りにテーレを始めとする精霊たちが勢ぞろいしていた。


何事!


「ああ、マリー良かった・・・」

目を潤ませた母に抱きしめられてながら、何が起こっているのか理解が出来ない。


「状況理解できているか?」

父の声に全くわからないあたしは、首を振った。

あ、ちょっとくらくらする。


「二日も寝てたんだ」

エディの言葉に驚きながらも、インフルエンザで寝込んだ後のようなそんな倦怠感なのは、それでか、と冷静に思う自分がいる。


そんなあたしの様子にまだ意識がはっきりしていないのだろうと思われたようで、もう一度寝かされそうになった。

「もう少し横になっておきなさい」


横になるのはいいけど、この状態は間違いなく脱水症状に近い。お腹もかなり空いているし、喉も乾いた。目の端に写る精霊たちが囲む真っ黒な卵も気になるけど、まずは体力回復に努めなければ!

あの卵を孵すときにも魔力がいるはずだから。


「のど、か、わ、いた」

声が掠れてしまうほどに、口の中も乾いている。

すぐにエディが走って水を入れたコップを持ってきてくれた。

いつもにないエディの行動に、かなり心配をさせていたのがわかる。


貰った水を一気に飲む。

ん?

なにこれ、体に水が馴染んでいく。運動の後のスポーツドリンクのようだ。

「これ・・・すごい」


「精霊の泉から汲んだ水に、水の精が何かしてた」

ほおー。これは異世界あるあるのポーション的な物ですかな?

ワクワクする。


「マリーちょっと元気になったからと言って、動かないでね」

先に釘を刺されて、口元がヒクヒクする。流石娘の行動を知ってますね。


「そうだぞ。今日一日はゆっくりとベッドに居るんだ。卵を孵すんだろ?」

そうだった。卵をなでなでしないと。


「おっと、今日は卵触るのは禁止だ。魔力を安定させるんだ」

直ぐに触ろうとするのを父が苦笑いしながら止めた。


「テーレたちが温めてるから、今日は大丈夫」

ベッドの周りにいた精霊たちも頷いた。

そういえば、テーレのありがとうは何だったのだろう。

聞こうかと思った時に、火の精が膝に乗ってきた。


なに、このサービス!

触れるだけで、癒される。

「くぃ!」

もふもふ・・・。

いいね、いいね。でも、テーレ。

森の精までやってきて、もふもふだらけになっていた。

夢にまで見た、もふもふランド。


このもふもふに誤魔化され、いつのまにかテーレに聞くことを忘れていた。

マリーがテーレのありがとうの意味を理解するのは、少し先のことになる。


もふもふを堪能していたら生暖かい視線に気づき、マリーはにへらと笑った。

「起きたら果物を砂糖で煮込んだものを食べるといいって、テーレに聞いたから作ったの。持ってくるわね」

「たべる!」

「僕も!」

「みんなでたべよ」


「「おいしー」」」

「なんだ、活力が湧いてくる」

「心なしか、肌が艶々したような」


エディだけはパワーみなぎるぜ!なんて気にしていないけど、二人も気づいたみたい。

魔改造されたポムに、魔改造された砂糖と精霊の泉の水で煮込んで出来た精霊の万能薬コンポートは、普通では考えられない凄いものとなったでしょう。


普通ってなんだっけ?



※精霊の万能薬コンポート  すべての異常を治すだけでなく、瞬時に万全な状態に回復させる。

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