126.村の人に協力要請
今回は村で時間を過ごすので、しんどい話はないです。
風の精と空の精が混在してました。空の精が正解です。
ただ今、80話まで風の精→空の精 変換完了 先は長い。
広場に行って手が空いている人がいるかと覗きに行けば、あっという間に人だかりが出来た。
「今度は何してんだ?」
「何か手伝うか?」
「マリー野菜ぐらい切れるわよ」
子供たちもやってきては、自分が出来ることを言う。
温かい気持ちに包まれていると、自分がどれだけ周りを見れていないのかと知らされた。
10歳の体に精神が引き摺られる、という言い訳をしながら、涙を溢した。
自分だけで動いても、結局精霊村を巻き込む。だからこそこの警備なんだから。わかっていたのに、わかっていなかった。巻き込んじゃっていい?
「今更だろ。さあ、何をして欲しいんだい?」
「三人が行商に行った町にスラムがあってね。食料が足りないの。スープ作ってくれる?」
「あいよ!解体する物もあるんだろ。こいつらにさせればいいから、さっさと出しな」
「うん。じゃあ、おじちゃんたちもお願い」
この村ように暴れ牛をどーんと1頭。
そして町に持っていくように、この間深淵の森で暴れ倒した時に獲れた奴を3頭ほど。
大ヤギと大鹿、大熊が魔物化したものだ。
「なんだこれ・・・。この辺の奴じゃない。魔石だけみれば、Bランク程のやつだな」
「あれ?暴れ牛に近い?じゃあ、サーロインとかいい部位はこの村で食べよう!あまりいいのを外に出せないし」
「おお!それは今日の酒が旨くならぁ」
「じゃあ、今日の酒の為にやるぞ!」
肉屋のおじさんと狩人のおじさんが指揮をとって、捌き始めた。周りの人も旨い肉と聞き、興味津々だ。
手持ち無沙汰にしている小さい子には、お使いと称して卵を貰ってくるようにお願いした。
厚焼き玉子が今無性に食べたい。
そして卵のある程度供給できるようになったと言ってたし、ここはマヨネーズの出番ですかね。サンドイッチの幅も広がるし。
ミキサーと一緒に作ってもらったハンドミキサーもここで使えるしいいことだ。
子供たちが持ってきた卵50個に一応浄化をかける。ボール2個に卵黄と卵白にわけていく。流石に失敗したら嫌なので、5個からスタートだ。
調味料セットから塩と油、酢をだして卵黄に適量入れて混ぜる混ぜる。そして油を足して混ぜる、混ぜる。マスタードなんてないから、本当にスタンダードなマヨネーズだ。
出来た。味を確認するべく、行儀は悪いけど急いで確認したくて小指で掬って舐めた。
もうちょい、塩欲しいかな?
塩を入れて、また混ぜる。
うん。いい感じ。これは後で小瓶に移すことにして、卵白を砂糖と合わせて混ぜる混ぜる。角が立ってきたら、これでいいかな。
ジィ―と何が出来るのか覗いていた子供たちは、すぐに食べられそうなものがないことを知り残念そうだ。
「これをパン屋さんに持って行って、焼いてきてもらっていい?お菓子になるから」
その言葉を聞いて目を輝かせた。
すぐにそれを持っていこうとする子たちに、スプーンを渡す。
「このスプーンでこの白いものを掬って、並べて焼く。って言える?」
「「言える!」」
「じゃあ、お願いね」
他には?なんて待っている子たちに、何もないとは言えないので、クッキーを作らせることにした。バターは多分妖精村にありそうだけど、今貰いに行くのもなんだから油で代用する。
卵・砂糖・塩・油を入れて混ぜる。混ぜて終わったら小麦粉を入れてサクッと混ぜる。混ぜて生地がバラけないような固さになるまで調節をした。
計ってないので甘さや固さなどどんなものが出来るのか、全く不明だ。
「じゃあ、これもパン屋さんに持って行って。その時にこの生地をこうやってスプーン2つぐらい掬って、軽く纏めて少し手のひらで押すと、こんな形になるの。それを並べて焼いてね」
自分で形を作れると知った子供たちは、一人残らずついていった。
うん。そうして。パン屋のおじさん、急にごめんね。火加減、よろしく!
広場を見れば解体がスムーズに進んでいるのが分かる。部位ごとに並べらえている塊を見ながら、どうしても苦手な内臓は捨ててしまいたくなる。分かってはいるんだよ、栄養もあるし美味しいらしいというのは。でもねえ・・・。
ハツ・ミノ・レバー・ホルモン・タンとか、どれも触感とあのちょっと癖のある味が苦手。
前世そこまで肉が好きじゃなかったからなぁ。その時の名残はどうしても解けない。
好きな人が食べればいいんかないかな。食べるのに、手間かかるし。
とりあえず、赤身が多いモモあたりを中心に持っていけば、煮込み料理で量増し増し出来るから、丁度いい気がする。手っ取り早く焼くだけならバラかな。他はここで食べて貰ったらいい。
あ、でも父さんたちだけの分は、焼き肉弁当作って持って行ってあげよう。
暴れ牛のハラミ・カルビ・ヒレあたりを4人分切り取って、いや10人分ぐらい貰って焼くことにした。シャンスと長の分を忘れたら大変。なので、味付けは塩コショウのみ。食べる時に好みでタレを付けてもらおう。付け野菜をピーマン・玉ねぎ・茄子と人参にすれば、そこそこボリューム感ある。うん、肉8割って感じ。
足りるかな?
もしもの時ように、大鹿と大ヤギも同じようにハラミ・カルビ・ヒレを10人分ぐらい貰って、塩コショウで焼くだけ焼いておく。足りなかった時ようだ。
大熊の肉は全部と大鹿・大ヤギのモモは全部。
これでよし!それでも大きさが大きさだけに量があった。
「マリーちゃん、残りは村の保存用でいいのかい?」
「うん、みんなで食べたらいいと思うの。干し肉とかにして別の味わいにしてもいいし」
「そこはみんなで相談しよう。スープも出来たようだし、気を付けてな」
並べられている鍋を見れば、肉の細切れが入っているスープと、ポトフのような野菜だけのスープ、そして野菜も細かく刻まれた胃に優しそうなスープ三種類があった。それが10個。
「こんなにたくさん、ありがとう!」
「いいんだよ。いつでも声を掛けておくれ。時間はたくさんあるからね」
「うん!またお願いします!」
それじゃあと鍋10個を仕舞い、転移する。
もう完全に陽は落ちた。早く動かないと。
転移した場所はマーティンさんの庭で、ひこちゃんの陰だ。
『マリー、大丈夫?』
「大丈夫。ありがと。みんなはどこ?」
『どこかの家行った』
気配を探ると大きな屋敷に父さんたちはいるみたい。うーん。これって町長さんのところかな?
突然現れても大丈夫かな?
『グレイト!父さんの肩に止まってくれない?』
『はーい。到着!』
「父さん」
「マリー?今どこだ?」
「ひこちゃんのところ、そっちに行ったほうがいい?ご飯持ってきたんだけど」
「うーん、そうだな・・・」
「シャンスに迎えに来てもらうよ。―――もう来たし」
「ああ、長にも食べて貰ったほうがいいからな。頼んだ」
父さんの声が終る頃には、シャンスに乗って駆けていた。5分もしないうちに到着!
難しい顔をした人たちが数人いたけど、子供だから空気を読まないことにした。
外の小競り合いも終わっていることだし、父さんがあたしを呼んだぐらいだから、危ない事はもう終わっているのだろうから、まずご飯にしましょ!
読んで頂きありがとうございました。
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