125.精神疲労回復
しんどい内容はもうすぐ終わる予定。
書いていると疲れてくるから、はやくまったりした内容書きたい。
スローライフとは何ぞや。
「マリー、大丈夫か?」
「父さん、大丈夫。それより地下に居た子は?」
「かなり衰弱はしていたが、大丈夫だ」
「じゃあ、これを飲ませてあげて」
果実水薄めたものと柔らかいパンをエディに渡した。エディは心得たとばかりに子供3人にところに向かった。
「でね、父さん。アリアからもらったもので皆よくなったんだけど、夜に反動があると思う。だから精神耐性を付与したミサンガを作ってくるね。同じような子がいないとは限らないから、それなりの数を」
「そこまで酷かったのか・・・」
「うん。腕を切断されてたり、耳とか尻尾とか色々」
「・・・そうか。マリーは大丈夫か?」
「うん、クロが治してくれた」
「そうか。それが終わったら、ゆっくり寝なさい。果実水とそのアリアがくれた薬があれば、後は大人がやる」
「でも・・・」
「マリー、10歳の子が頑張ることじゃない。いいな?」
正直魔力が補充されたといっても、体の疲労はとっくに限界を超えている。一瞬でも気を抜けば、眠気で倒れる程に。確かに10歳の体の限界だ。自分が眠ってしまう前に、父さんに使用方法を説明して渡した。
世界樹の葉の説明をした時には気が遠くなったのか、目の焦点が合ってなかった。
そして最後に鉄格子の中に連れてこれなかった子がいることも伝えた。心安らかに眠って欲しい。
ギュッと抱きしめられて、よく頑張ったと褒めてもらった。
うん。
「じゃあ、一度村に戻ってクロにお願いしてくる」
「無理はするな」
頷いてそのまま建物の陰に隠れて、転移した。
「クロ、どれぐらいの大きさの物だったら丁度いい?」
「以前倒したネズミのを2つで大丈夫だ」
「それなら沢山あるから、付与お願い」
5ミリぐらいの石が埋まっててもおかしくないデザインとなると、ミサンガというよりはブレスレットみたいなのがいいかな?
となると、錬金で一気に作っちゃおう。
クロに付与してもらったのを2つ嵌めこむようにして、手首の大きさで調節が出来るように・・・と、イメージすると出来上がったのはバングルだった。飾りもデザイン性もないただのバングル。
これだったら体が大きくなっても付けておけるし、金目のものだと奪われることもない、はず。丁度いいかも。
それを20個作った時点で、眩暈のような眠気がやって来た。いよいよ限界のようだ。
クロに抱っこされて転移してバングルを父さんに渡したら、あたしの任務は終了だ。
「マリー、頑張って村までは帰ってくれ」
クロに言われてハッとなんとか目を覚まし、何とか村へ。
その後は電池が切れたように眠った。
起きたら精霊達がベッドに全員集合状態で、カーテンを開けたら既に陽が落ちていた。
「マリー、起きたのね」
テーレがホッとしたように呟いた。どれだけ眠っていたのか。頭は少しボーッとするけど、体はビックリするぐらい軽い。
「昨日ここで倒れるように眠った後、アリアが来たの。世界樹の葉を結晶化したものを預かったから杖を出して」
言われるまま出すとテーレとソルが、魔力を込めながら杖に嵌めこんでくれた。
「はい、いいわよ」
戻された杖に触れるとふわっと深緑の香りがして、何とも言えない感情にさせられた。
あの時に似ている。
前世で初めて教会に入った時のような、厳かでありながら静かで優しい気持ち。
これが世界樹の聖域?
今のことが落ち着いたら、あたしには必要な場所かも。
その時にはここに居る皆と一緒に一日中何もしないで、ゴロゴロしたいな。
頭が正常に働きだすとお腹が空いてくる。リュックからジャムパンと果実水をだして食べた。ベッドの上で行儀は良くないが、今はとにかく食べたい。
お腹が空いていたのか、パンを3つも平らげた。
まあ、一日食べてないのだから当然だろう。
「落ち着いた?」
「うん、父さんたちはまだ向こうだよね?」
「ええ、かなりの人数が行き倒れになりかけていたみたい。分かっているだけで大人50人前後に子供20人前後」
「え、子供たち少ないよね?」
「・・・捕まえてから奴隷として、売られていたみたい」
「あの鉄格子に居た子が10人ぐらいだったから、他には10人ぐらいしかいなかったってこと?・・・酷い」
「マリー・・・落ち着いて」
「うん、ごめんね」
「マリーが大丈夫ならいいの。クロの『精神安定』が掛かっている杖を持っていても、精神異常をおこしたのよ。マリーにとってどれだけ負担がかかったのか、私たちにはわからない」
それはどうしても前の常識と記憶があるから。昔も今も、環境には恵まれている。だからこそ、反動が大きかった。
「私たちからすれば人間はいつも争っているし、優劣を付けたがって武力で訴える野蛮な生き物。自分たちの生活を豊かにするための『道具』扱いする、小賢しい奴ら。だけど、それだけじゃないことも知っている。同じ生き物として、仲間として大切にされてきた記憶も継承せれている。だけどね、マリーは一人しかいないんだよ?マリーがいたから、ここに精霊・聖獣たちが集まっているの。正直、マリー以外がどうかなろうと私たちは苦しまない。マリーが望むから私たちは手を貸すし、ここにいる。そのことを忘れないで」
その言葉に衝撃はあったものの、ストンと落ちてきたものもあった。人間の理になかではなく、世界の理の中で生きている。確かにそうなのだ。いつも一緒だから、忘れていただけで。
そしてテーレが言いたいのは、自分が負うべき責を増やすなと言う事だろう。テリトリーを侵せば、反発も大きくなるのだから。
「ありがと」
今の自分が憤ったのも確かだけど、この世界の『聖女』というものに、前世のラノベで培った価値観を当て嵌めていた、こうでなければダメだという正解はないのに。
この世界の純粋な聖女じゃないから、あたしはあたし、なんて思っていたけど、一番固執していたのは自分だったという。
こうぐるぐると回る思考の時は、何をやってもダメな時だ。
こういう時は美味しい物を食べるのが一番!
みんなに差し入れもしたいし、父さんたちに食べてもらうものと、野菜たっぷりのスープを作るのもいいよね。
それなら!
手の空いている人に手伝って貰おう!
自分一人でやる必要はないのだ。
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