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104.妖精村のことを話す

みんなが陽気に楽しんでいる中、その場の雰囲気に全くあっていない者が一名。

「わかっていただろう?」という追随された容赦ないクロの言葉で、更にへこんだ。


誤魔化せてないのは知ってたよ。

精霊村を巻き込む可能性も知ってたよ。

この妖精村のことも誤魔化せないのは知ってるし、それでいて知らないふりをしてくれていることも。

それでいて、いつ話してくれるのだと目が語っていることも。


はあぁぁぁぁ。

「辛気臭い」


最近クロが冷たい。

あんたが一番ホストで鬱っぽかった癖に。


「どうせバレてるんだ。さっさと言え。その為にホセは村長になったのだろう」


我なんて、あの病気を患っていたみたいだったのに、いつの間にか改善されちゃってさ。

少しうさん臭いお兄さん的にキャラ変しちゃって、プンプンだよ。


わかってるよ。

父さんが色々としてくれてることぐらい。

これからも面倒ごとは降って湧いてくるし、慣れてもらおうかな。

妖精村の人たちも精霊村と行き来できれば、もう少し本当の笑顔になるかもしれない。

これからずっと人間を避けていくのは難しい。

リハビリするには精霊村はいいと思うんだよね。


それにカランキ村のサンたち孤児たちにも、色んな道を示すことが出来ると思う。

それだけでなく、この村の子供たちにも。


難しいことは一先ず置いておいて、ウィスキーを手に言ってみよう。

つまみはチーズがいいよね。


いざ!出陣!


部屋に戻って、息を大きく吸い込む。

ゆっくり吐いたら、覚悟は決まった。


気配を読むと部屋のリビングに父さんも母さんもいた。

夕飯には早いから、何を察した?

冷静になって考えた。

・・・昨日はテンションが異様に高かった、かもしれない。


あたしが前世の記憶もちだとカミングアウトする時よりは、落ち着いて話せると思うから頑張って話そう。



リビングに入れば、父さんも母さんもソワソワしている。

どうやら色んな意味で、興味が勝っているみたい。


「父さん、これウイスキー。妖精村で出来たお酒。蒸留しているからかなり強いから、水で薄めて飲むのがお勧め」


「母さん、これが妖精村で出来たハンドクリームとか、化粧水など。多分貴・・・お金持ちの人たちが使ってたぐらいだから、かなり良いものだと思う」


それぞれに渡すと反応が面白かった。

父さんは、やっぱりか。的な反応で、それでも嬉しそうに瓶のふたを開けて、匂いを嗅いでいる。

母さんは、一瞬ピクッと何かに反応したが、すぐに澄ました顔になってハンドクリームを塗り始めた。


危なかった。貴族と言ったらまずそうだから、お金持ちということにした。

誤魔化せてない気もするけれど、他の村の人たちには刺激が強すぎるから、お金持ちで!


「話してくれるか?」

「うん。あたしも妖精村が出来て、初めて行ってきたからわかる範囲で話すね。どこから話したらいいのか・・・。かなり長くなるけどいい?」


「ああ、覚悟をしている」


流石、村長!

色々ご迷惑おかけいたします。



「まず、蜂蜜がキッカケでテーレが会って欲しい者がいるということで、会いに行ったのがきっかけ。精霊の森を超えた森にいる人たちね。その人たちに会いに行ったら、森を破壊している人間と妖精族を誘拐している人間にあったの。拘束具を使って魔法を使えなくさせ、奴隷として売るなんて物騒なことを言う人が居てね」


「ああ、キレたのか」

「まあ、簡単に言えばそう言うことかな」

「まあ、当然ね」


「だからね、そのまま精霊や長、シャンス、シエロ総出で、撃退した。その時助けた妖精族ダンジョンで匿うことにしたの。その人たちが集まって出来た村を妖精村と呼んでいるの」


「突っ込みどころ、満載だな。ダンジョンは崩壊したと言ってなかったか?」

「そうよ。チョコレートが・・・」

そこも話さないといけないか。


「あの時のコアは、あたしの眷属になってるの。だから色々作ることが出来るから、妖精村を作った。始めの目的は、精霊村に何かあった時のシェルターと、表に出しにくい物をそこで育てること。いつまでも精霊頼みの商品ばかりでは、外へ出せないし、争いの元にしたくなかったから。この村だけで一生を過ごすことも出来るけれど、外との繋がりを全くなくすのは、出来ないし」

「まあ、そうだな」


「後は最終的にどこに埋めるか決まってない世界樹も、今そこで育ててる」


「そうか」

「うん」


「でね。すぐには難しいけれど、ちょっとずつ交流を始めたらと思ってる。力技で作った魔道具も、妖精村のドワーフの皆さんだとちゃんとした物が作れる。美容商品もフェアリーたちが作れるし、獣人族が羊飼ってるから、乳製品もある。エルフの人に鶏とかの飼育も習えば、もっと合理的に卵が増やせる」


「マリー・・・、それは」

「うん。これからは農業・林業・狩りだけではなく、なりたい職業になれる道が拓ける。それなりにリスクも出てくるけど」


「それは、俺たち大人の役目だ。既にこの村のことは周知の事実になっている。行商人が無理をしてでもやってくる日は、そんなに遠くない未来だ。外へ出せるものを作るのは、大事なことだ」


「今出せるものと言えば、野菜と燻製肉、塩とその他の保存食ぐらいか。ギリギリ酒か?果物、砂糖とか、高級品は出さない方がいいし、魔道具も今のままでは、出せないな」

「布やクッションとかの商品はどうかしら?」

「女性が作る物で外に出せる物があった方がいいね。布はいけそうな気がするし、布製品はお金持ちに売れそうだよ、父さん」

「・・・そうだな。かなり質がいいから、周りの村では買えないだろう。一度街に行って視察してからだ」


どうやって話そうかなんて悩む必要がないくらい、スムーズに話は進んだ。

母さんに色々と躾けられていたクロとか、嘘が付けない精霊達からほぼほぼ伝わっていたのだと、今ならわかる。

本当に凄い両親で尊敬。


明日にでもヨルじいに交流の根回しに行こう。





読んで頂き、ありがとうございました。

ブックマーク、ありがとうございます。



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