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99.アルバンティス王国 辺境の街 アルルの事変

マリーはかなりブチ切れていた。

契約精霊となったリュビ・ソルたちの記憶を共有してしているからだ。あの時のようなモノとしての狩りをしている人間がいるというだけで、理性の限界を超えている。

シエロの裁きに反応したのは、確実に罪人ではないからだ。罪もなく罰としてでもなく、ただ使役だけする為に付けられた者の拘束具は壊れている。

そこまでの数はいないと思っていた見通しが甘かった。無理やり使役していた者が、拘束具がなくなった後どのような扱いを受けるのか、想像出来ない。逃げられる前に殺してしまえなどと、短慮的に考える者がいないとは限らないのだ。

そんな残酷なこと物語の中だけであって欲しい内容だが、実際はもっと酷いことの方が多いことを、歴史が知っている。


何度も、何度も、倒れそうになりながら、果実水ポーションを飲みながら、魔力を補う。

ダンジョン内に出来た森に居るヨルじいにバトンを渡せば、精霊達が集めてくれている者たちを迎えに行った。


「マリー!これ以上はダメだ」

そんな声が聞こえる。

あたしも限界だと思う。だけど、森の中にはあいつらがまだいるし、街の方では何が起こるかわからない。自分がしでかしたことだ。自分が最後まで責任を持ちたい。


「マリー、我らを頼るのだ。自分だけで背負うのではないぞ。その為に、我らはいるのだ。少し、眠れ」


バリトンボイスのいい声で、そんな優しく言われたら・・・。

まだ途中なのに、泣いたって解決できるわけじゃないのに、状況がわからないというだけで不安になる。

森限定にしておけば、少しばかりは時間が稼げたと思う。みんなをこんなにも巻き込んで、自分だけ先にリタイアなんてしたくないよ。

だけど願った。


長、シエロ・シャンスと一緒にみんなを助けて。

クロ、もしも危なかったら、闇で隠してあげて。

シン、亜空間作って避難させてあげて。

テーレ、ソル森を複雑にして今居る者たちを、街に帰さないで。

みんなが逃げ切るまで、グンミ街の水脈止めて、リュビは灯をともさないで。

そして誰も失うことなく、会えますように。


隣国 アルバンティス王国 辺境の街 アルルは一日にして、壊滅状態に陥った。のちにそれを【アルル事変】として、歴史に刻まれた。


晴天だった空に突如として現れた真っ黒で分厚い雲。

そこから落とされた雷光は、街のいたるところに落ちた。

その後に現れたのは、神の御使いと名乗る天馬。


「聖女の怒りを買ったそなたたちに、天罰が下った」


どういうことだと大騒ぎしている間に、奴隷の拘束具が壊れたとあちらこちらから声が上がった。

何が天罰だと持ち主たちは怒り、逃げようとした妖精族たちをロープで縛り始めた時に、心の臓をとめんとばかりの遠吠えが聞こえた。


聖獣とされるフェンリルが2頭現れたと思えば、この国ではみることのない数多くの精霊たちが押し寄せた。闇を作り、灯を消し、水を止め、空間が歪み、奴隷として扱っていた妖精族が全て消えたと言われている。


聖獣フェンリルは言う。

『二度と妖精族の森に関わることを禁ずる。聖女の怒りが解けぬ間は、森に入る事も叶わぬこと、とくと覚えておくが良い』


こうして妖精族の力で栄えていた街「アルル」は、一夜にして衰退の一途を辿ることになった。



目を覚ましたマリーがこのことを聞いて、そのまままたベッドの住人になりかけたのも、致し方ないことだった。

あたし舐めてたよ。自分の発言力。そりゃー、聖女なんて大層な称号貰ったけど、普段それがどうしたって感じだし、傅かれて生活してないし、もふもふして精霊とワイワイして、村を好きに弄っているだけの子供だし。

本当に反省。大きく反省。誰も死んでないから、良かったな。なんて言われて、そうだねというほど強いわけじゃない。だけど気を失わないほど、それなりに頑丈らしい。

それに。

妖精の森(勝手に命名)が壊れて、以前の精霊の森が消滅するような事態になれば、多分あたしは自分が許せなくなる。だから、これでいいのだと思うことにした。

きっとどう動いても、後悔は残るのだ。だったら、今が最適だったと思うことにする。


たた、短慮だけは頂けない。これから父さんと母さんの何したの攻撃を、ダンジョンのことを隠してどう往なそうか。

ダンジョンの状況を見に行って、みんなから話を聞いたほうがいいし、あの街へ行って自分がしたことはこの目で見ておきたい。

やることが増えたけれど、まあ、このメンバーで出来ないことなんてないよね?


「長、妖精の森に行って色々手伝ってくれる?」

「オーブンとやらで作った肉でよい」

あ、オーブン!これで父さんと母さんの話を逸らせてしまえ。ついでに、肉焼けば一石二鳥ではない?美味しいものがあれば、誤魔化しがきくと思う。


「これから焼くのもいいかもね」

そう、起きたら朝だったのだ。向こうで夕方気を失ってから、多分このまま。あの時は果実水ポーションでタプンタプンなお腹ではあったけれど、胃の中は空っぽ。お腹空いているし。


「テーレ、ダンジョン内の様子を見て来て。ココアと相談して、森や家を作って欲しい」

「シン、一応念のために他の風の精に声を拾ってもらって欲しい。妖精の森に取り残されたものがいれば、連れてきて欲しい。シエロ、お願いね」

「グンミ、街の水の流れ少しの間とはいえ止めたなら、不浄が溜まっているかもしれないから、必要なら浄化して欲しい」


さあ、まず一番にすることは。

「マリー、起きたのね。さあ、昨日の昼間から何処へ行っていたのか。どうして寝込んだのか、説明してちょうだい」

ですよね。

「ソルとリュビはオーブンの説明よろしく」


あたしはオーブンをリュックから出して、肉を焼きましょう。




あけましておめでとうございます


読んで頂き、ありがとうございました。

予定では閑話を挟んで次の章に移ることになると思います。


ちゃんと楽しめる物語なのか、ちょっと謎に感じてきた今日この頃。ちょっとモチベーションが下がっているというだけなのですがw


キリがいいので気分転換もかね、閑話挟んで次の章が始まるまで、お休みさせて頂きます。


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