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アラフォー女転生 卵ガチャで目指せスローライフ! 【完結】  作者: 桜田 律 
第一章 5歳 スキル『ガチャ卵』の真相
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9.加護と新しいスキル

「あら、マリーは寝てるの?」

寝てないですよー。

放心していただけですー。


「マリーは体力ないからな」

それは、残念なことにそうかもしれない。

だけど、起きてる。


「ううんとね。水のせいから重大なこと言われた」

食べることとチャンバラしか興味のない、エディ以外の二人がフリーズ。


父母ごめんよー。あたしのせいじゃないし。

それにきっと村にもこの世界にも大事なことだよ。

あたしの遠くなるスローライフのためにも頑張って欲しい。


「もしかしてマリーが水の精の加護を貰ったことか?」

・・・加護?

あたしそんなことになっているの?

スキルに鑑定がないから見えてないけど、ステータスボードがあるならば


マリー 5歳  ホセとリセの子


スキル 『卵ガチャ』『魔力上昇』『育成』


精なる木『サクレ』の加護 その眷属 ドライアド『テーレ』 マリーの守護者


水の精の加護 new 


って感じ?


「それともこの木のことか?果物の木もあるが、酒を造る為の樽の材料になる木が何種類かあるから、間違いなく造れという暗示だと思うが」


そうだそうだ!とばかりに飛び跳ねるグミ違った、水の精。

いやいや、あんたたちそんな簡単な話じゃなかったよね!

酒造れば問題ないとばかりに、頷いているようにも見えるけれども、精霊と人間の感覚が同じなわけないのだから、文句言っても仕方ないのかもしれない。


「100年ぶりの酒~」らしいから。


「まあ、すぐには呑めるように出来ないから、一年近くは待って貰わないといけないことは、わかってくれているのだろうか?」


すぐに全員がショボーンとして、荷車の上で縮こまった。

でもすぐに復活!いいこと思いついた!とばかりに水の精一人?が跳ねた。

嫌な予感がする。


「かーさん、に」という前に、淡い空色のエフェクトがあたしを包んだ。

絶対に何かついたよ。


「ああ~。スキル熟成だな」

ん?熟成・・・。

「酒を早く造れということだな」

熟成って水の領分?確かたんぱく質がどうだこうだで、酵素がどうのこうのだったはず。

さっぱりわからない。

だけど!


そんなことは、どうでもいい。スキル万歳だ!

醤油と味噌を作れということだよね!

水の精のご都合主義に巻き込まれたけれど、ラッキー!


足元にポスポスとぶつかってくるみず水の精達に、慌てて言い訳する。

あ、勿論お酒も造らせて頂きます。


それでいいのだ。

どや顔しているように見える一人の水の精に、可愛いのだけど苦笑いだ。


「解決したの?」

「かーさん」

そういえばかーさんにと、言いかけたままだった。


「あー、村でそーだんしないと」

「まだ何かあるのか?」

「ある。おさけで幸せになったら、火のせいが元気になって、地のせいが作物そだてる。空のせいふえて、ゆめ広がるから、王がきかんするって」


「「お、王、王の帰還?!」」


あ、フリーズも短くなった。


「王と言えば精霊王!物語にしか出てこない伝説の王だと!あり得ない。いや、精霊がいうのだから間違いないのだろう。・・・それに昔は精霊の泉の水で酒を造り、魔力を含んだ酒を奉納していたのだから、その通りに酒を造れば、水に、地に、火に、空に魔力が満ちて帰還が早くなるということか?」


考えている間ゆっくりな歩みになっていた父を母が急かせる。


「考察は後にして、早く家に戻りましょう」

「そうだな。森を見に行くだけだったはずなのだが・・・どうしてこう話が大きくなったのか」


マリーをチラリとみる。

思うよね。あたしも思う。


「このあと村の人たちに森のことを話す予定だったのだから、すぐに話しましょう」


そんな緊迫した父母の心情を無視して、腹減ったというエディはやっぱり大物だ。

実際お腹が空く時間なのは間違いないので、急いで村へと帰っていった。


村に戻ればあたしたちが戻るのをほぼ全員の村人が待っていた。そして森はどうだったかという答えは、大鹿を見て魔の森ではなく普通の森になったと察したのだろう。久しぶりの大物だと村人が沸いている。


あたしといえば、荷物台が盛大に揺れたせいで、酔って気持ち悪くなって動けなくなっていた。


動けるようになったのは、お肉が捌かれ焼かれ始めていい匂いがするころだ。

まだ気持ち悪いけど、自分の分が焼かれる前に折角だから試したい。


「マリー大丈夫なの?」

「だいじょーぶ。おなか、空いた」

「もうすぐ焼けるから、待ってなさい」

「やけたお肉はエディにあげる。あたしのは自分で味つけるの」


その言葉で母はすぐに家族分のお肉を持ってきた。あれだけで察するなんて、流石だよ。

熟成が進んだお肉美味しいからね!


「後は何がいるの?」

「今日とって来た薬草たちとマメと塩と小麦にむし器」


やってやろうじゃない。熟成。

どれだけの時間で出来るのか、お酒を造る上でもきっと判断材料となる。

本当は、眠たい。荷車に酔った上に、幼児と言える5歳の体は限界が近い。


だけどここで美味しい食べ物が食べられるかどうかは、今後の人生が違っている。

大袈裟ではない。食べることが好きなあたしが、塩で美味しい芋とか豆ばかりとか、寂しくて仕方ない。


お陰で痩せているのかもしれないけれども、いや、あたしからすればガリガリだ。

肉食べて、肉付けるべきなのだ。

特にこの薄い胸に!


今ここに、手を合わせる同志の母が居ないのは残念だ。


あ、いえ何でもないです。


不吉なオーラが消えた。


豆を蒸してもらって小麦を炒って塩入れて、此処から一気に熟成させちゃうよ!

これで簡単にできるなら、次からは酒樽ならぬしょうゆ樽つくればいい。

さあ、こい!

『スキル 熟成!』


母は黒っぽい液体にちょっと引き気味だ。

あたしは迷わずその黒っぽい液体を掬って舐めた。


豆が大豆じゃないし、工程も色々足りないのだろう、だけど、出来ている。

覚えているしょうゆをお湯で薄めて味の厚みを抜いたような、何とも言えない物足りなさを感じるが、それでもしょうゆだ。

臭いを嗅ぎながらショウガみたいなの、トウガラシみたいなのや、ネギみたいなのを出来たばかりのしょうゆに刻んで入れて、混ぜる混ぜる。

更に砂糖を入れて、混ぜる混ぜる。

ポムの実もすりおろしてもらって、混ぜる。


のろのろと混ぜる体力がないあたしの代わりに、仕上げはかーさんがしてくれた。

黒い液体に不安そうな顔のわりに、香りのいいこのタレに興味津々なようだ。


お肉の上に豪快にかけて、浸したあとはお肉ごと更に熟成だ!

『スキル 熟成』


さあ、これでどうだ!

「やいてー」


焼き始めてから何とも言えない香りが押し寄せてくる。酔いの不調など吹っ飛んで、お腹がぐーぐーと早く食べさせろと叫んでいる。


周りで騒ぎながらお肉を食べていた村人も固唾をのんで、焼けるお肉を見ている。

エディに盗られそうになりながらもこれだけは死守し、お肉が焼けた第一号を口に運んだ。


和牛肉には到底追いつかないが、この世界では間違いな一番だと断定できる。

うーーーーーーんっ!

おいしーーーい!

お酒が飲めないのが本当に残念だよ。

この世界では何歳からお酒が大丈夫なんて言わないから、造ったらテイスティングと称して呑むのもありかも?

久々に満足なものを口にしたあたしは、未来に想いを馳せていたニヤニヤしていた。

傍から見たらあやしい5歳児である。


その様子を見ていた家族は、声が出ないほどお肉が美味しいと受け取ったようで、我先にとお肉を取り齧り付いた。


「う、うまい!」


その声を聞いて村人が黒い液体、即席焼き肉のたれを求めてきたのは必然だった。


美味しいは正義!



もふもふが遠い…...( = =)


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