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スカイリリー  作者: 青空鈴蘭
9/9

ヤンキー見参!

‐青に黒が混ざる。


玉座の間。


ガルアス「状況を報告せよ。」


ゼノアス「はっ!シュドラス殿下からの報告によると、現在敵軍は第一城門を突破!

付近の衛兵が敵を外郭区にて圧し留めようと応戦していますが、多勢に無勢。

並行して住民の中郭への避難を呼びかけていますが全く手が足りておりません!」


ガルアス

「そうか。ならば私も出よう。」


ハスター宰相

「なりません!陛下の身に何かあれば!」


ガルアス

「前線で戦わずして何が王か!この国の最大戦力は私か巫女かワーグナーだ!被害を最小限に抑えるには私が出るのが一番手っ取り早い!」


ハスター宰相

「陛下は戦いたいだけでしょう!?」


ガルアス

「なにをぉ!?」


ゼノアス

「戦いたいだけだな。」


エルマン

「戦いたいだけですなぁ。」





悲鳴がこだまする空。


「ドラグーン外郭警備小隊!相手は獣人!家屋、屋根は奴等だけの足場となる!横帯編列!ブレス!構え!」


それはまるで虱潰すイナゴの軍勢のように

見渡す限りの黒き濁流のように。


たった十騎。

偶然外郭警備を割り当てられていた警備小隊長はこの日部下に死ねと命令した。

共に死ねと。


徴兵のあるこの国では、15歳以上の男なら、常に死ぬ覚悟は出来ている。

この国は常に魔獣や獣人の脅威に晒されてきた。


よって、退くとは、家族を巻き込んで死ぬことと同意だからだ。


それくらいなら、かすり傷でもいい。少しでも傷を与えて討ち死ねと教え込まれる。積み重ねればいつか倒せるからだ。

それが名誉だと。

だから死は怖くない。


だが、女、子供は違う。

時間を稼がなければいけなかった。


「助けて。」


空は快晴。

そう、快晴だった。


「誰か救けてよぉ!!」


バザールの路地を少女はひた走る。


涙が溢れる。息が切れる。


「そっちに生き残りが居たぞ!」


山のように品物が積まれたバザール。

山のように品物が積まれたバザール。

山のように品物が積まれたバザール。

誰も居ない。

みんな居ない。

みんな死んだ。

みんな殺された。


屋根伝いに迫る影。整備された道かなど獣には関係はなし。

四足で駆ける口にはククリ刀をくわえ、強靭でしなやかな筋肉が立体的な変則移動を可能とする。

黒に統一された軍勢は、白い街並みにキャンバスにタールをぶちまけたかのように、

その場が道かどうかなど意にも留めず、屋根さえ飛び越えながら外郭を塗り潰していく。


「手間かけさせんじゃねぇよ!!!」


髪を捕まれ吊られながら、逃げていくみんなが見える中郭へ手を伸ばす。

髪を捕まれ頭が強制的に空を向いた。

首筋にククリ刀の冷たい感触。生暖かい息。


こちらへ向かってくるドラグーンの編隊が見えた。


「あっ、ああっ!」

全力で私は声を張り上げた。


「助けて!逃げ遅れたの!私はここに居ます!お願い!お願いします…。」


助かる。助かるんだっ。


‐小隊長は


「放てぇ!!!!」


街に火を放った。


小隊の騎乗した成龍と新成龍の混成隊は橋上都市外郭を少女ごと横薙ぎに薙ぎ払った。












‐はずだった。



…風切る。


風切る、風切る!風切る!!


シュドラス「チャリオットォォアアアアア!!!!」


構えた剣先の延長線上。

翔ける龍前方を包む円錐状の魔法障壁。

風の魔法を受けて。


加速。


加速。


加速!


加速!


加速!!


加速!!!


すれ違いざま魔法障壁を解除、飛び降り、鞍に片手だけかけて、


獣人

「ぶるあぁああ!?!?」


ネア

「シュー兄ぃ!!?!」


ドロップキックをかまし宙返りで着地したアホは


シュドラス

「ネアに手出してんじゃねーよ。!!っ。」


この国の不良王子である。


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