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少年は光を見つけた

男の子視点です。

口調は俺にしました。



親に捨てられた。



その事実だけが俺の中を脅かしている。



自分の居場所がなくなった。



それでも泣きたくないという意地で手をキツク握り締め歯を食いしばった。





そんな俺を連れて何処かへ行く男を見る。



親に捨てられたという現実が全てを支配している状況で周りのことを気にすることなんて出来なかった。



俺を捨てた親に対する怒り、、、

いや、悲しみと行き場のない気持ちが交差する。



しばらく歩いて行くうちにとても大きい家が見えた。




俺を連れている男の家だろうか。


俺の前には大きな家が建っていて、

その中はとても広かった。


今になって不安と怖いという感情に襲われて俺は思わずはしりだしていた。




どこに行けば良いのか分からない。

怖い、寂しい、悔しい、

たくさんの感情にがんじ絡めになる。



自分の居場所はないのだと、ガムシャラに走った。



走って走って走り続けた所で突き当たった部屋に入った。



その瞬間、人にぶつかった。



「あら、大丈夫?」という声が聞こえた。


声からして女性だということがわかった。



今の自分を見られたくなくて謝ってすぐに走り出そうとした瞬間、ぶつかった女性にひきとめられた。



訳がわからないままその女性を見ると自分より少し年上だと思われる女の子だった。



その女の子に優しく抱きしめられた。抱きしめられるという状況にひどく安心する自分がいる。



その温かさのせいなのか押さえつけて来た感情が一気に溢れ出した。



堰き止めていた涙が一気に溢れて彼女の服を濡らす。



彼女は何も言わず、優しく背中を撫でていてくれた。



少しずつ治まってきた頃になると恥ずかしくて顔を上げるのに時間がかかった。





漸く俺が顔を上げた所で彼女が少しだけ離れた。



離れた体温に名残惜しくも感じながら彼女を見上げた。



「私の名前はユリア。貴方のお名前は?」

と、彼女が話しかけてくれた。



そうか、彼女はユリアというのか。

ユリア、、、彼女に似合う優しくて暖かそうな名前だ。



一瞬だけ意識を違う方にもっていっていた事に気づき彼女の質問に答えようと焦ったが考えてみると自分には名前がないことに気づいた。



俺を捨てた人は俺のことを名前で呼ばず、いつも「あんた」とか「お前」、としか呼んでいなかった。



彼女の質問に答えられない自分が情けなくて悔しくって自分が嫌になった。



「名前、私がつけても構わないかしら?」


彼女が突然そう問いかけてきた。


俺は驚いた拍子でつい頷いていた。


「そうねぇ、なんていう名前がいいかしら?、、、、、、、、、、」


とても優しい声で彼女は俺に話しかけてくれている。


優しい眼差しで俺を見てくれる。


暖かくて優しい、一緒にいることで安心していられる。



初めて会ったこの人は俺の心に深く残る存在になってしまった。


「そうだわ!

貴方は綺麗な黒い髪に黒い目をしているからシュヴァルツという名前はどう?

漆黒という意味なのだけれど、、、

どうかしら?」



シュヴァルツ、彼女が俺だけの、俺のためにつけてくれた名前。



嬉しくて嬉しくてついつい抱きついてしまった。



彼女は嬉しそうにシュヴァルツと呼んでくれる。


彼女に呼ばれるだけで俺の心を満たしてくれる。


ずっと傍にいたい。


俺が彼女を守って生きたい。








そうして幸福感を味わっていた時、俺が入ってきた扉からノックの音が聞こえた。




彼女が俺を抱きしめたままで、

「どうぞ?」と声をかけた。



開いたドアからは俺を此処に連れてきた男性が入ってきた。



俺を連れ戻しに来たのかと不安に思った俺は彼女にキツク抱きついた。




「あら?お父様どうかなさったんですか?」





、、、、、、、、、、、、、

、、、、、、お父様っ!


バッと男性を見上げると目があって驚いた。



こいつ彼女の父親だったのか。



精悍な顔立ちから彼女とは似ても似つかない顔のせいか、全くわからなかった。



彼女の父親はそんな俺の様子も気にせず彼女に俺が今日から家族になるから世話をしてあげなさい。と言った。



突然のことで驚いた。

なんだ?それ?

俺が知らない間に決定事項になっていた。



彼女は嬉しそうに笑って喜んでいる。



彼女が笑ってくれるなら構わないと思ったけれど俺が面倒を見てもらうといことは納得できない。



俺が彼女を守るんだから俺が面倒を見るようなものだろうに。



ちょっとだけ眉間に皺を寄せて考えている俺に君の名前は?と彼女の父親が尋ねてきた。



名前も知らない人間をこれから家族にする、とよく言えたもんだな。



だかまぁ、それは気にしなくていい。



今の俺には彼女がつけてくれた大切な名前があるからな。



俺は自信満々に彼女がくれた俺だけの名前を告げた。



「シュヴァルツだっ!」



彼女がくれた名前を告げることを誇りに思う。



今日から彼女は俺の姉さんになる。



目の前で微笑む彼女を見て言う。



「これからよろしくお願いします。

姉さんっ! 」






どんな風に育てていこうか迷ってます。

まぁ、おいおいでやっていきたいと思います。

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