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五七五・七七

作者: ぼっち球

 何を思ったのか、私は居間でイチャイチャしている両親に、馴初めを聞いたことがある。



 時は遡り、両親が学生だった頃の夏休み。

 母は、図書館で勉学に励んでいた。なぜ、自宅ではないのか。同級生で同じ文芸部だった父に勉強を教えてもらうためだ。母はメモ用紙を介して父に分からない問題を聞いていた。


 その日は朝から蒸し暑かった。

 母がいつものように問題集と格闘していると、向かい側に座る父からメモ用紙を渡された。いつもは母から父へ質問するため、珍しく感じたと同時に、頭の良い彼にも解けない問題があるのかと思ったそうだ。

 しかし紙には、こう書かれていた。


≪日没後 鎮めてくれぬか 一物を≫


 セクハラである。

 父は「朝日に照らされた母さんは、とても綺麗で」だとか長々語っていたが、要約すると、向かい合って問題を解く母の胸元からチラチラと見え隠れする下着に興奮したらしい。

 ドン引きだ。

 しかし、母はドキドキしたそうだ。なにせ、父のことが好きだったからである。

 私なら、いくら好きな人からであろうと、そんなセクハラを受けたら耐え切れない。もし同じことをされたら、心がときめくどころか全力で相手の男を殴り、逃げ出すだろう。

 私の事はさておき、母は次のように書いて返したという。


≪ひがひがし故 夜はわからぬ≫


『まだ午前中なので、夜の事はわかりません!』とも『(私は)捻くれているから、夜はきっと遠く離れたところにいるわ!』とも取れる。ツンデレだ。

 これを読んだ父は、急に帰り支度を始めた。嫌われた、と母は思ったそうだ。

 しかし、荷物をまとめ終えた父は「今からなら、いいんだろ?」と母の手を掴んだ。



 その後の事は語るまい。

 私の気分が落ち込んでしまう。


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