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無職聖女ジャンヌダルク

ひきこもりジャンヌダルク

作者: 束間由一


 絶望の炎によって身を焦がされ数百年。私は、現世に再び人間として生まれ変わった。

 日本人の一人の女子「十字 まもり(18歳)」としてだ。


 これも神のご厚意かもしれないが、正直なところ有難いものではない。

 もう人間と言うものを再び信用する気にはなれないのだ。

 かつて、せっかく私が奮闘したものは全て裏切りによって消えた。その程度のものなのだ。人間の信頼関係など実に脆い。調子のいい時は散々持ち上げて、ダメだと感じたらさっさと消えていく薄情な人間ども。


 中学校もしばらくは言っていたが、信心も思いやりも無いロクでもない人間ばかりでやっていられなかった。おまけに歴史の教科書を見ていたら、私自身や私の死後の歴史が「世界史」とかで出てくるのも胸糞悪い。「百年戦争とか」カッコいい名前がつけられているのも、何だか腹が立つ。


 だから今、私は家の中に籠城し続けている。

 いわゆる、「ひきこもり」と言うやつだ。親が何と言おうが、現世になど興味は無い。

 パソコンとテレビとゲーム機があれば十分だ。人間との直接的なコミュニュケーションよりも、架空のキャラクター達の方がずっと素直で純粋だ。「水戸黄門」の正義は素晴らしい。人間に評価するべきところがあるとすれば、こういった曲がらぬ正義の虚像を作りだした事だろう。


 そういえば、生まれ変わってからは大いなる神の声が聞こえない。

 「聖女」と呼ばれた私も、今となっては社会に飼われる籠の鳥だ。 



 

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