交差路でお別れを―
お借りしています。
DOGOD69
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前後左右
限り無く広がっているように見える可能性というやつも、
ふと眼を上げてみれば意外と制約されていることに気付く。
前の道は天国へ続き、
後ろの道は地獄へと続く。
左の道は振り出しに戻り、
右の道はどこへも着かない。
答えは分かっているはずなのに、僕はふとそこで立ち往生するのだ。
さて、僕はどちらからやって来たのだっけ。
そこに1人の男が合流する。
彼は僕から見て左の道からやって来た。
男は僕に問い掛ける。
「どの道がどこへ続いている?」
「分からない。」
僕は首を左右に振りながら嘘を吐いた。
男はしばらく立ち止まり、思案するような顔つきになった。
彼は結局右の道を選んだ。可哀想に。
僕は彼の背中が見えなくなるまで見送った。
男の姿が消え去ってしまうと、再び僕と沈黙だけが生存する世界になった。
僕は眼を閉じた。
どこか遠くの方で風の音が聞こえた気がした。
実はこの空間に沈黙など無かった。
僕の鼓動や呼吸や血管を血液が流れていく音が、沈黙が世界を支配するのを阻んでいた。
僕は眼を開けた。
そしてゆっくりと、目の前の道へ一歩を踏み出す。
この道はどこへ続くのだろう。
ずっと奥の方で響く、誰かの声が届いてきたような気がした。
僕は次の場所へと進み出す。
戻れないかも知れない場所に背を向ける。
戻れない場所とは、一体何だろう。
それは、恐らく
交差路でお別れを―