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真実の愛のその後  作者: シエル


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3/5

初夜




「さて、ご理解頂けまして?」



「…あぁ、ありがとう。よく、分かった…」




ご自身の現状を理解できたようですね。


お花畑の住人は現実へ戻って来れないかと思いましたが良かったです。




「で、どうなさいますの?」



「…どう…とは?」



「先程、申し上げた通り白い結婚は困りますの。ですので、操を立てるおつもりなら離縁いたしましょう。その場合、小侯爵様は廃籍されますので平民となりますが…」



「…それは…」




初夜の雰囲気作りの為でしょうか。


部屋の明かりはキャンドルだけで少し暗めです。


そんな中ですが小侯爵様の顔色は何だか悪いように見えます。




「フェアリー男爵令嬢は小侯爵様が平民になるとお付き合いを止めるような方なのですか?」



「そんな事はない!!」



「でしたら、別に廃籍になってもよろしいのでは?アレク兄様は一代ではありますが男爵位は貰えますし、他の方々も平民にはなりますが、皆様で働けば暮らしに困る事はないかと思いますが?」




平民に囲まれて育ったフェアリー男爵令嬢は確かに平民だからと付き合いを止めるような人ではないのでしょう。



しかし、側に置いている人達は王族であったり、高位貴族や裕福な平民など地位も財産もお持ちの方々です。


今更平民として放り出されても、この5年の間に分不相応な生活をしてきたはずなので耐えられないかもしれません。



そして、小侯爵様自身も使用人などに仕えられて生きてきた人です。


平民として生きるのは簡単な事ではないでしょう。




「…平民として生きるのは私には無理だろう…分かった。子を作ろう…」



「本当に大丈夫ですの?お顔を拝見すると難しそうですが…」




子を作ると言った小侯爵様の表情はかなり苦しそうです。


一応、()()()()()()()()()()()()()()()に媚薬も用意してはありますが…




「大丈夫だ…初夜にしよう」




小侯爵様はそう言うとキャンドルを吹き消し、部屋を暗くすると、寝台へ私を誘導していき優しく押し倒しました。


気を使って下さってるのが伝わってくるのでどうにかしてあげたいのですが、これでも乙女です。



多少の知識はありますが詳しくは知らないのです。




「…申し訳ありません」



「何がだ?」



「お心がままならない事は存じてますので何とかして差し上げたいのですが…その、多少の知識はあるのですが…く、詳しくは、その、知らなくて…」




今更ですが少し恥ずかしくなってきた事もあり、しどろもどろに言うと、かすかに笑った声が聞こえました。




「小侯爵様?」



「グレンだ」



「え?」



「君は夫の事をずっと『小侯爵様』と呼ぶ気か?グレンと呼んでくれ」



「…では、私の事もアイリスと…」




かすれた声で「アイリス…」と呟いたかと思ったら静かに口づけが降ってきました。



少しカサついた薄い唇は熱く、だんだん深くなっていきました。



初めての口づけは何だか息が苦しくて、それでいて気持ちが温かく感じた気がします。

 


その後は思った以上に優しく、どろっどろに溶かされました。




私が知識として知っていた物とは違い、知った気になっていたのだという事を嫌というほど思い知らされました。


…結局、途中で意識を失ったのですが、その頃には外が少し明るくなってきていたような気がします。



何だかんだと初夜は無事に終えましたが、これを子ができるまで続けるとは…私の体はもつのでしょうか?





目が覚めると部屋の中はしっかり明るくなっており、グレン様の腕の中にいました。


喉が渇いたので腕の中から抜け出し、水を飲もうとすると体が動きません。

 



グレン様…恐るべし…



そんな事を考えているとかすかに笑う声が聞こえ、グレン様に再び腕の中に戻されてしまいました。




「おはよう」



「…おはようございます、グレン様」




朝からR指定な色気を醸し出し、少し掠れた声で微笑みを浮かべる余裕そうなグレン様が憎らしく見えるのは仕方ないと思います。




「何をしていたんだ?」



「喉が渇きましたので水を飲もうとしたのですが、体が動かなくて…」



「あぁ、無理をさせてしまったな。すまない」




そう言うと起き上がり、その辺に脱ぎ散らかした服を身につけると、グラスに水を注ぎ、私の体を抱え起こし飲ませてくれました。




「もう少し寝ているといい。私も今日は休みだから、何かあれば言ってくれ」




グレン様はそう言うといそいそとシャワーを浴びに行きました。


昨夜とは違い表情が少し優しく見えた様な気がしたのですが…気のせいでしょうか?



ごろんと寝返りを打ち天蓋を見上げ、これからの事を考えます。



先程の様子を見る限り、他の側近の方々とは違い私を妻として尊重してくれそうですね。


まぁ、心は未だにフェアリー男爵令嬢にあるのでしょうが、それはそれです。



そんな事を考えながら、そっと目を閉じました。




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