表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死とは甘美也  作者: あゆやか
その一歩が遠くても
9/34

学校に着いた

 学校に行けた。

 二ヶ月ぐらい行けてなかったのに。

 自分の力で。


 学校に着いたら担任の先生がびっくりしたような、そして嬉しそうな顔で、こちらに向かってきた。

「よく来たね!!」

 そう言って、歓迎してくれた。

「教室は難しそうかな?」

 俺は、その言葉に少し戸惑いながらも、静かに頷いた。

 先生は、別室登校にしてくれた。

 放課後まで別室で過ごした。

 一人だと少しほっとする。

 でも、皆は教室で授業を受けている。

 その言葉が頭の中を巡っている。

 ここまで来たんだ。

 そう言って自分の心を落ち着かせて、なんとか無事に過ごすことができた。

 学校の雰囲気が、少し分かった気がした。

 そうしていたらチャイムが鳴った。

 少しして、先生が、来た。

 久しぶりに、先生と話す。

 先生を前にして、少しだけ緊張する。

 何を話せばいいんだろう。

 何を話したら普通の人を演じられるのだろう。

 先生は俺のことを考えているのだろうか。

 静かな沈黙が流れた。

 沈黙は重いようで軽い、そんな沈黙だった。

 けど、先生は重くのしかかったのか、分からないが、沈黙を破ったのは、先生だった。

「学校に来るの辛かったでしょ。よく来たね。」

 何か返事しないと。

 そう思ったが、言葉にできたのは。

「はい。」

 それだけだった。

 自分でも、返答になっていない。

 だけど、それしか言えなかった。

 それでも先生は、優しく、そしてゆっくりと、頷いてくれた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ