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第一話 異世界大賢者大往生
城の窓からは、明るい夜空に浮かぶ
まさに最後の時だった。
この世界に生を受けて実に120年。
この世界の人族の寿命が60歳ほどだから、おおよそ2倍の年月を重ねているということだ。
いささか、長生きが過ぎたようだ。
しかし、長いと、いかに月日があったとしても、今、この瞬間命を閉じようとしてる私の人生はその長さを、まるで、一瞬の灯火のように感じてしまうのは、ここでその人生が終わるからであろうか?
剣と魔法によって、人が生きるこの『ファールガルト』
私が生まれた時には、人が安心して住まうことのできる箇所など、王都と東の帝国くらいのものだった。
その他の土地には魔物が徘徊し、力のある魔物など、自らを『魔王』と名乗り、人も魔物も全て配下に置こうなどと、人に人の暮らしなどさせぬ、そんな環境であった。