猛き想いは不死鳥と化して
ハジーマ村は混沌に包まれていた。ゴブリンどもが次々と村人を襲撃していた。村人は悲鳴を上げて逃げまどうばかりだった。これが邪教の軍勢だ!圧倒的な邪教の暴力に人間は脆弱であった。
「なんて酷いことを……」
その惨状を直視したカケルは敵への闘志を燃やしていた。
――だって世界は理不尽なものだからね
レミィの言葉が脳裏に浮かぶ。
――それでも、それでも! オレはこの世の理不尽を減らしたい!
そんな想いが強まり、カケルは走り続けた。理不尽を作り出した相手を倒すために。
「グフフ……カシオペアの継承者はどこだ! どうやら村人の中にはいないようだが……」
オークの一番槍、ガルドは村を破壊しながらカシオペアの後継者を探していた。その表情は破壊への愉悦を感じられた。
「ガルド様、あちらの広場の方でライブとかいう惰弱な行為をやっている奴らがいるらしいですぜ……そいつらかもしれません」
「じゃあ広場の方に破壊しながら進軍だ!」
「ウォーッ!」
ゴブリンたちが鬨の声を上げる!リトルプラム楽団に危機が迫ろうとしていた!
「 おまえらこれ以上の破壊行為をやめろ!」
そこに走って現れたのは一之江カケルだった。
「なんだこの有象無象は!ゴブリンどもこいつを排除しろ!」
ガルドはゴブリンをけしかける!
だがカケルはゴブリンを恐れずパンチとキックでゴブリンを倒していく!
「ウギャーッ!」
「ウギャギャーッ!」
「ウギャギャギャーッ!」
ゴブリンが悲鳴を上げて倒れていく!
「こいつ、ただの人間ではないようだな……いいだろう! 俺が相手になってやる!」
ガルドの筋肉がビルドアップして強い戦闘オーラを出していく!
――こいつ只者ではない!
カケルは直感的にガルドが強敵であることを判断した。アルゴスの一般怪人レベルはあるかもしれない。
「ならば俺は切り札を使うしかないな!」
カケルは瞬時に決断を下し、くるりと高速ターンした!
次の瞬間、カケルの姿は赤い戦士の姿に変わっていた。
「俺は赤き戦士、アインフェニックス!」
カケル、いやアインフェニックスは高らかにヒーローネームを名乗り上げた。次の瞬間エネルギーの奔流が炸裂する!
「貴様の名前などどうでもいいわ! 邪魔をするなら倒してやる!」
ガルドとアインフェニックスの激突が始まる!
そしてその姿を影から見つめているレミィの姿があった。彼女はカケルが心配してついてきたのだった。
「カケル……一あなた体何者なの?」
その言葉は虚空に溶けて誰も聞こえなかった。