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リトルプラム楽団

……近くて遠い未来、地球は世界征服を企む悪の組織に狙われていた。それに立ち向かったのが超国家的防衛チーム「ユニオン」であった。アルゴスとユニオンは地球各地で地球の覇権をかけた戦いを繰り広げていた。そしてその戦いはいくつかの区切りをつけながらも継続中の戦いであった。

一之江カケル、二葉ヒナタ、三崎ゴウタ、四条カイト、五木アンリ。彼らはユニオンのヒーローとして秘密結社「アルゴス」との戦いを繰り広げていた。そんな五人が突然異世界に転移したのだ。異世界はヒーローに何を求めているのか? その答えはいずれ解るはずだ。


 レミィとカケルを乗せた馬車は夕刻すぎに小さな村、ハジーマ村の小さな宿屋に到着した。ものすごく広大なアシュタロス平原(魔物がうじゃうじゃいて危険!)の代わり映えしない景色を抜け出してカケルは安堵していた。

「団長にカケルを紹介してくるから、ちょっと待っててね」

 そういってレミィはカケルに馬車の中に待機するよう言い含めると、レミィは馬車から降りて小さな宿屋に入っていった。カケルはどうしたものかなと思った。地球に戻りたいとは思うが、帰還の手段が皆目見当がつかないのである。

「オレは異世界で一体何をすればいいんだよ……」

 カケルは頭を抱えたくなった。わからないがこの異世界でしなければならないことがあるらしい。なんとなくそう思わなければやってられないリアルさがあった。しばらくするとレミィが馬車に戻って来た。

「カケル、喜びなよ!団長がリトルプラム楽団に入ってもいいよって言ってるよ」

 とりあえずカケルは団長に許しを得たらしい。カケルも馬車から降りてレミィと一緒に宿屋に向かう。もちろんリトルプラム楽団に自己紹介をするためだ。当面彼らと付き合わなければない。第一印象は大事だ。異世界に放り出された不安でいっぱいだったが、とりあえずの止まり木を見つけて若干の安堵を覚えていた。


レミィに案内されてカケルは宿屋の一室に案内された。見知らぬ人たち、恐らくリトルプラム楽団のメンバーが集合していた。カケルを品定めするかのような視線がカケルに突き刺さる。

「キミがレミィが言っていた、イチノエ・カケル君かい? 私の名は、ジェラルト。リトルプラム楽団の団長だ……キミはなんでもトウキョウとかいう都市で警備員をしていたそうじゃないか。私はキミのことを頼りにしてるよ」

 物静かそうな白髪の中年男――ジェラルトはカケルに自己紹介をした。その視線には確かな知性を感じ取れた。

「どうも、リトルプラム楽団の皆さん……始めまして、一之江カケルです。若輩者ですがお手柔らかにお願いします」

 カケルもリトルプラム楽団の皆に自己紹介を返した。リトルプラム楽団のメンバーはざわざわと小声で会話し合った。

「今日からキミはリトルプラム楽団の一員だ……楽団のメンバーを第二の家族だと思ってくれても構わない。なぜならリトルプラム楽団は様々な境遇の人を受け入れているからね」

 そう言い切るとジェラルトはカケルにウインクをした。意外とお茶目な一面もあるらしい。そしてジェラルトとカケルは力強い握手をした。それはカケルを受け入れる証明のようであった。

「それでは早速、歓迎会を始めるぞ! オレの名前はフレッドマン! リトルプラム楽団でギターをやっている! 新人! これからよろしくな」

 サングラスをかけた不良風の男――フレッドマンが先んじて挨拶をした。サングラス越しで瞳は見えないが熱いハートの持ち主を感じさせる口調であった。

「僕はリコリス……リトルプラム楽団のベース。喋るのが苦手だからこれで終わり。新人さん、今後ともよろしく」

 ノッポの青年――リコリスがおどおどしながらも自己紹介をする。カケルはちょっと大丈夫かなと心配した。

「僕はサリー……リトルプラム楽団の打楽器担当だ……こっちはサルファ、僕が製造した多機能ゴーレムさ。えっどうして僕がそんなゴーレムを製造できるかって? それは僕が魔導の天才だからさ!」

 キザったらしい金髪の青年――サリーが肩乗りゴーレムと一緒にあいさつした。カケルはこの世界にも魔法が実在するらしいと、素朴な感想を思った。

「わたし、アンジー。リトルプラム楽団の歌姫なの。 新人さん、よろしく頼むね」

 可愛らしい女の子――アンジーはカケルをからかうように挨拶をした。

「そして、あたしがリトルプラム楽団のラッパ担当……レミィ! カケル……これからよろしくね」

 そして、レミィが改めてカケルにあいさつする。これがリトルプラム楽団のメンバーらしい。

「オレは右も左もわからないペーペーなので迷惑をかけるかもしれない……でも頑張るんでどうぞよろしくお願いします」

 カケルも改めてリトルプラム楽団のメンバーに自己紹介をした。部屋の空気全体が明るい雰囲気になった。とりあえずリトルプラム楽団のメンバーとして受け入れられたようであった。カケルの新生活が始まる。

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