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スーパースター
優しい詩を書きたい。
たとえば世界的な競技大会でもって
皆から期待され国の威信を背負って
輝かしく戦ってるわけじゃないけど
いいんだよそんな風に焦らないでも
たとえば小売店の書き入れ時を過ぎた
閉店前に売れ残った生鮮品の売場
それまで誰にも選ばれなかったものが
何よりも優しく背中で語った言葉
半分の価値しかないと見做されるも
そのお陰で愛しい人は満たされるよ
捨てる神と拾う神がいるこの世界で
その胸に自信という火を灯せないで
自分の居るべき場所も解らないまま
大丈夫だよ場違いでも構わないから
見切り品と貼られた今が勝負だから
羅針盤もなしに放り出された大海原
ここまで腐らずに生き抜いた意味は
殺到する神の泣き笑いを決める君だ
優しくなりたい。