表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/49

恋愛未満

 好きな人をずっと好きでいるのって難しいことなんだと思います。人って変わるじゃないですか。真面目な優等生タイプが急に大人に反発して荒ぶるパンクロック少年になったり(ちゃんと理由はあったんですよ)。

僕らが出逢ったのは入学式の日で六歳の頃

八歳のバレンタインに貰った特大のチョコ

何となく解った両親の離婚の意味なら

離れたくなかったのは父よりも君から

その頃の僕らはこどもだったけど

あの当時そんなこともあったねと

ただの思い出にはしなかった

君の代わりなんていなかった

僕らが過ごした時間など

実は普通の恋人未満かも

出発のホワイトデー

行き違いはお相子ね


十歳の時に初めて一人で電車を乗り継いで

三時間の絶望的な距離を越えて降りついて

家に泊めてくれた友達とは今は疎遠で

あんなに一緒に遊んでたのにゴメンね

運動会だったけど記憶は霞んでさ

だって君は高熱を出して休んでた

会えると嬉しがってがっかり

当時から擦れ違ってばっかり

僕らが過ごした時間はさ

実は普通の恋人未満かな

出発の日曜午後の駅

温かかった友の手に


他の子を好きになっちゃだめだよって手紙

君の映る写真シールの張られたものを選び

紙のにおいのするキスをした中学時代

少し気になる子もいたけど誘惑に勝ち

やっと会えるようになった高校生

思えば少しずつ違っていた方向性

一緒の大学は目指さなかった

君といる未来を選ばなかった

勉強したいことがあった

中退は君に何を物語った

遠距離は慣れぬまま

謙虚にはなれるかな




君を一人にした自殺企図から二年が経った

終わってるなんて思えなくて未練があった

君は僕のいない時間を逞しく進んでた

きっと神様は僕たちのことを結んでた

刃物で外頚動脈を掻き切ったとき

神様の賜りものを断ち切ったのに

君からの結婚の報告に臨めば

そいつがひどく唐突に思えた

おめでとうは言えないよ

まだ心の傷が癒えないの

バイバイしあわせに

ありがとう今までに

 彼女はずっと変わらずに、綺麗で清楚で可憐で凛としていて芯がしっかりしていて。そして誰よりも優しかった。真面目な優等生タイプを好いたのには納得できるんですけど、荒ぶるパンクロック少年に変わってしまってからもよく離れていかなかったなと。人は何をもって人を好きになるのでしょうか。そして人は何がどう変わればその人ではなくなるのでしょうか。関係性が変わっても、私は彼女を好きでいることをやめられません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] これは、ヤバいです。ヤバいです。 ヤバいです。もう語彙力とかどうでもいいや。ヤバいとしか言えない。溢れでそうになる涙を必死で堪えてます。 泣くもんか。 控えめな韻がまた、この詩によく合…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ