戦争ごっこ
これ以前にも脚韻詩は書いていたのですが、行数に制限があったり、しりとり縛りだったりで、これほど自由に詩を書いたのは初めてでした。ただ、日本語で脚韻詩ってだけで泣くほど難しいんですよ、本当はね。
恵まれた国に生まれてさ
戦争ごっこでふざけてた
蛇口を捻れば水が出て冷たいと
枯れ果てた涙に気付かせてくれないよ
友達がみんな持っているオモチャ
自分だけが買ってもらえないことが
悔しさとか悲しさとかのモノサシ
きっとなにも変わらないまま大人に
恋人もいなくて
それはそれで気楽で
欲しい物が解らない
それもそれで変わらない
上手くいかなかった就職
どん底に叩きつける重力
飛行機が突っ込んだNY
世界中が騒然として注目
新聞記事にならない人生
祈りを捧げる日への認定
世界中のみんなで手を繋ぎましょうよ
そう言って「みんな」から摘み出そうと
ハズレくじを引いた誰かを
もう決まったことだからダメだよ
煮てさ焼いてさ食ってさ
あの頃の僕が手を振ってた
簡単に夢は砕けてさ
冷たい風に吹かれてた
頭を捻れば未来なら描けたし
どんな素敵な明日にしようか選べない
こどもの頃に持っていたオモチャ
あの子の方がいっぱい持っていることが
不幸だとか幸福だとか愚かしい
ちょっと良い方を貸してくれた友達
不平不満ばかりで
辺りを窺って赤い目
誰も彼もがお揃い
なんとなく恐ろしい
上手く調和しない温度
見えざる手の取る音頭
バスが吹き飛んだ倫敦
世界中が狂乱の輪舞曲
毎年八月の六日九日
夏休みの浮いた心が
輪になって肩を組み歌い出そうよ
そうやって弱者から奪い去ろうと
当たりくじを引いた私たち
でも本当は心から笑いたい
兵隊が鉄砲を撃ってる
あの頃の僕が首を振ってる
新聞記事にならない人生
祈りを捧げる日への認定
世界中のみんなで手を繋ぎましょうよ
そう言って「みんな」から摘み出そうと
ハズレくじを引いた誰かを
もう決まったことだからダメだよ
煮てさ焼いてさ食ってさ
あの頃の僕が手を振ってた
毎年八月の六日九日
夏休みの浮いた心が
輪になって肩を組み歌い出そうよ
そうやって弱者から奪い去ろうと
当たりくじを引いた私たち
でも本当は心から笑いたい
兵隊が鉄砲を撃ってる
あの頃の僕が首を振ってる
テーマも形式も自由っていうのが実は苦手で。好きに書いていいよって言われると、何を書いていいのか解らない。そんな私にとって、本作は実験でした。まず、何も決めないで、好き勝手に言葉を並べてみました。そうして出てきたワードが「戦争ごっこ」。お気に入りの韻は「水が出て冷たいと/気付かせてくれないよ」ですかね。これにとても好意的な感想を頂けたことで、調子に乗る切欠となりました。連載に至る、という感じ。