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明かされる性能そして愚痴

今回戦闘シーンがありません、期待していた方は申し訳ありません!

その代わりに重要な単語がさらりとでてきます。

 MR-01、通称ムアルを支給されてから約十八時間後の現在、整備班からムアルの整備が終わったとの報告を聞き、仮眠用のベッドから身を起こしたナトカは身支度を終え格納庫へと向かっていた。

(随分と時間が掛かったな……)

 1Gの重力が人工的に発生させられている格納庫への艦内通路を歩きながらナトカは考える。

 通常のSDならば時間がかかってもせいぜい十時間といったところである。

(トラブルでもあったのかあるいは……)


 無重力となっている格納庫に着いた途端ナトカはそれまであった人工の重力から解き放たれた。

 この時代において人工的な1Gから人工的ではない0Gへ変わる感覚は宇宙で暮らす人々にとって当たり前の事だ。

 MR-01の方を見るとただ一人を除いて整備士達は他のSDへ整備に行っておりいなかった。

 そのただ一人は

「コクツ軍曹、整備が終わったと聞いて来たのだが」

「少尉殿、お待ちしていたであります!」

 自分の機体がどうなっているのか確認するためMR-01に近づいたナトカにMR-01の胴体にあるコックピット内の様子を見ていたコクツが顔を向け敬礼する。

 MR-01の機体の色は実験機を表すイエローからナトカの髪と同じブラウンとなり、彼女の機体だと示していた。


「整備自体は終わったのでありますが一つ厄介な事がありまして」

「厄介な事?」

 ナトカはMR-01のコックピットを覗いてその厄介な事というのが分かった。

 通常、メインモニターはコックピット前方と左右の三つなのだが

「新型か」

「そうであります」

 MR-01のメインモニターは一つだった。

 正確には操縦席と操縦に必要な操縦桿やフットペダル、そして計器類以外全て一つのモニターとなっていた。

(詳細データにあった全方位モニターとはこういう事か)

 あの時艦長からもっと詳細に聞いておけば良かったとナトカは内心少し後悔した。


 新型が厄介だというのには理由があった。

「軍曹、OSや戦闘データの引き継ぎはどうなっている?」

 コックピットに座り、詳細データの書いてあるマニュアルを開いてモニターや各計器等をチェックしながらナトカがコクツに尋ねる。

「少尉殿のレント・リメイクとムアルでは規格が合わず、引き継ぎができなかったであります……」

 申し訳ないでありますと謝罪するコクツ。

「軍曹が謝る必要はない、これはもしかしてだが私が今まで乗っていたレント系列の機体とは開発しているところが違う事が原因か?」

「その通りであります」

 ナトカの慰めと推測にコクツは少しだけ元気を取り戻しつつ答えた。

 詳細データによるとMR-01の開発はクレ社とのことだがナトカが今まで乗っていたGD-97レント系列はヨコスカ社が開発していた。

 開発元が違い、更に新型である。

 これまでの戦闘データを引き継げず新しくOSを入れなければならない上に今まで乗っていた機体と同じように動くという保証が無い。

 SDの新型はこういった事が起こりやすいが故に厄介と言える。

 ナトカが格納庫へ行く途中あるいはと思っていた事は的中していた。



 その後、ハッチを閉じて全方位モニターを点け狭いコックピットを開放的にした中で新しいOSを入れ終わる事に成功したナトカは改めてこの機体の固定武装を確認していた。

 両前腕部に150mm砲が片腕二門で合計四門

 頭部側面に内蔵式80mmバルカン砲

 腰部の左右に一本ずつ取り付けられたニードルピック

(以上か……)

 前の乗機であるレント・リメイクより頭部に内蔵されているバルカン砲の口径が広がっている事から見て機体の出力が上がっている事が分かる、四門ある150mm砲の一斉砲撃による反動にも易々と耐える事ができるとデータ上にある。

 思わずナトカはため息をついた。

 しかしこのため息は決して機体の出力に対して関心し吐いたものではない。

「軍曹、コックピットのハッチを開けるぞ」

 ナトカは外で同じくこの機体のデータを見ていたコクツにそう言い、ハッチを上にスライドさせて開け外に出た。


「どうでありましたか?」

「軍曹、少し付き合え」

「はいであります!」


 艦内格納庫にて設けられた飲食スペース、二人はそこで軽食を取った。

 ここ十数時間お互いろくに食べ物を食べていなかったのだ。

「さて……食べ終わったところでいいか?」

 コクツが食べ終わるのを見てナトカは腕を組み壁に背を預けなから聞く。

「どうぞであります」

 コクツは待たせてしまい申し訳ないといったふうに答えた。

「まずは武装についてだ」

 気にしていないと言いたかったが話が逸れてしまうかもしれなかったので本題に入る。

「武装の威力自体は確かに高く強力だ、だが内蔵兵器故に弾数が少ない、短時間での作戦や拠点防衛戦でならとにかく機体自体の性能も考えて戦闘継続能力は低いとしか判断できない」

 ナトカは格納庫に配置されたSDが使用する武装を横目で見ながら続ける。

「手持ちの武装で補うという手もあるがどれだけ強力な武装でも限界はくる、何より破壊されないという保証は無い、高い機動力を持っていないあの機体では敵の攻撃をかわすのが簡単というわけではないからな」

 ここでナトカは顎に手を置き考える。

「同じクレ社が開発したセブンスほどのパワーはあるのだが弾が切れれば接近戦をしかけるしか……」

「セブンスでありますか……」

 セブンスとは当時落ち目にあったクレ社が会社の威信を賭けて開発した七機のSDである。

 クレ社がSD開発業界に返り咲くきっかけとなり、圧倒的な性能を誇り開発から四年経った今でも何十年も先をいく機体だと言われている。

 開発者及び設計者は発狂して死んだという噂が流れており、目撃者もいるとか。

「長所が無いわけでは無い以上乗りこなしてみせるしかない、か……」

 ナトカが最後に呟くように言った。


「すまないな、私の愚痴に付き合わせてしまって」

 飲食スペースから出た二人は格納庫の通路を通っている。

「もうその言葉も何回目でありましょうな」

「確かにな」

 小さく笑いながら返答するナトカ。

「しかしいいのか軍曹、私ような女の愚痴ばかり聞いて」

「どういう意味でありますか?」

 心の底から意味が分からないといった表情をするコクツにナトカは

「他の女が寄り付かなくなるぞ?」

 少し意地悪っぽく言った。

「少尉殿がいる以上心配はしていないであります!」

「そう返すと思った」

 これからも頼りにしていると言いナトカは報告のために艦長のいる場所を探しに行った。

相棒以上夫婦未満?

MR-01の見た目は次回で描写しますがあえて例えるならば

ガン○ムグシオン+サ○ビー+ラン○マン・ロディ+アイアンアッ○イ÷4

です。


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