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白い蜘蛛と赤目の鬼  作者: 木丘柊遠
序章~白髪美人は半人半蜘蛛~
8/12

断章~新年の日常・後編~

とてつもなく遅れました……

色々と新年は多忙でした。

生活環境がまた大きく変わりますし、早め早めに進めておかなければ…と思いました。

あと、このお話は時間軸的に2章辺りのお話です。

俺たちが魔物を倒す仕事「ウォーリア」になってから早3ヶ月。

新年はリリィの要望により、蜘蛛族の里で暮らしている。

かなり大きな生活の変換が起きたくせに、俺たちは新年をだらだらと暮らしている。

「あー、炬燵ってすごいですねぇ…陽さんの世界にはこんな魔性の家具があるんですか。」

リリィは残念ながら炬燵の魔力に取りつかれ、まるで溶けているかのようなだらしない表情で炬燵に甘えている。

「……兄さん、リリィがこんな表情するとはおもってなかったよね?」

俺以外に唯一炬燵から出ている咲奈は、呆れた表情で俺に問いかける。

「当たり前だ。まあ、柊と似たような表情してんだかな……」

柊はこの時期は炬燵から出ない。飯もこいつを炬燵から剥がす作業から始まる。

「陽……お前も入りな……いいぞー炬燵……」

「俺は蜜柑があればいい。咲奈、食うか?」

「もちろんもらうけど…なんで蜜柑で一人キャッチボールしてるの?」

「なんでも、こうすると甘くなるらしいぞ。よくわからんが。あと、回しながら軽く握ると、皮が剥きやすくなる。試してみな」そう言いながら、蜜柑を渡す。

「へー……あ、ほんとだ。剥きやすい。」

ちょっと内心嬉しい。

「……ほんとだ、甘い。美味しい」

「咲奈って蜜柑は甘い方が好きなのか?」

「んー、そうだね。私は甘い方が好きかな。もともとディアボロ一族は、肉より野菜派のやつが多くてね。野菜に関しては色々教わったんだよね……」

「それは興味深いな。何があるんだ?」

「んーとね……」

咲奈から野菜の豆知識を色々と教わった。

元々砂漠に近い地域にすんでいる一族らしいが、肥沃な土地を見つけると、一族の誰かが作物を育てようとするほどの野菜好きが多くいるらしいディアボロの一族は、野菜に関しては小五月蝿そうだ、と思っていたら「男はうるさいわね。やれ切り方だの煮方だの炒め方だの…」と咲奈は愚痴をこぼした。

そんな話をしているとき、リリィが

「ディアボロ一族と人間の最初の交流は、野菜に関するものである、という話を聞いたことがありますね。」と、言った。

「そのとおりよ。ディアボロは誇り高く、領域を侵すものは誰であっても許しはしないが、学びに来たりする人間は変なことしなければ歓迎するの。誰彼構わず追い払うような底辺な連中じゃないのよ。」

咲奈は誇らしげに答える。

「人間の『品種改良』って技術は驚いたわ。美味しい作物がより美味しくなったり、たくさん収穫可能にするんだもの。人間は新しく作ったり改良する技術は高いものね。評価するわ。」

「あー、どーも。」なんか褒められた。

「ディアボロ一族は誇り高い。だから恩を仇で返すようなことはしない。当たり前でしょう?ディアボロの一族(私たち)は恩は命に変えてでも返せって教わる。今、私も同じ事をやってるだけかもしれないわね。」

「ディアボロ一族とは一度個人で交流してみたいものだな……」俺はそう思った。

「……で、柊。いい加減お前は炬燵からでろ。」

「嫌だ!」

リリィは出たというのに……

リリィは炬燵から出るといつものようにシャンとする。公私分けが良くできているなと感じる。

……よし、あとで柊は折檻だな。

「リリィ、そろそろ体動かしたいんだが。」

「そうですか。ではそろそろ外で里の守りをやっている人にも暇を出さないといけませんね…近くの魔物を倒すだけの仕事ですが、やってくれませんか?」

「私もやる!家の中でだらだらするより、体動かした方がいい!」

そういって、俺と咲奈は外に、森に出た。



「やっぱりねー、外に出なきゃ鈍るかもしれないしねー。」

私はそうぼやきながら森を兄さんと一緒に歩く。

「それなのに柊ときたら……」

森の中は陽射しはあまり当たらず、里より一層肌寒く感じる。

兄さんは元から寒いとは言わない人だしディアボロ一族が住む砂漠地域は夜は凍える寒さを突きつける。寒さに慣れてないやつはその寒さに耐えられるわけがない。この程度、寒いとは言わない。そんな中、本当に一瞬だが、白い影が動くのが見えた。

兄さんも見えたらしく、すぐに屈み、当たりを見回す。

私も数瞬遅れて屈み、当たりを見回すと、白い毛並みをした狼がいた。

端から見れば美しく、撫で回したい衝動に駆られそうな見た目だが、実態は魔物であり、特に凶暴性も高く、集団で襲ってくる危険な魔物である。

今は一体しか居ないが、潜んでいる可能性もあり、断定できない状況だ

私は兄さんと共に少し離れ、作戦を立てる。

「さて、どうするか。遠距離で仕留める方がいいか?」

「銃はだめ。音が大きいから居場所がすぐばれる。」

「そうなると、魔法も駄目か……仕方ない、近接か。」

「私は上から急襲する。兄さんは前から行って」

「わかった。」その言葉を聞いた後、私はすぐに空へ飛び立つ。

一匹の悲鳴のすぐ3、4匹の鳴き声が聞こえる。

私は魔力を展開し、上空に複数の魔法陣を形成、縦に並べる。そして、中心めがけて槍を突き立て落ちるだけ。

魔法陣の内容は「加速、反作用衝撃軽減、鋭利化、加速」の順に並べられる。

「風穿……風衝ーーッ!!!」

ただ一匹めがけた一撃でも、風の暴力と衝撃波によって残りを巻き込む凶悪な一撃と化す。

風は狼を塵になるまで切り裂き尽くす。

兄さんの作った結界が、風の暴力が収まる頃には裂傷だらけでほとんど使い物にならなくなった。

「……相変わらず、咲奈の風はすげぇな。」

「私は、取り柄がこれぐらいだからね。」少し自嘲気味に言う。

「まあいいや。他に居なさそうだし、帰ろう。」

「うん!」

私は頷き、帰路についた。

その後、なにも変わっていない柊を見て、兄さんがキレるのを見た。

次回から一章が始まります。

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