断章~新年の日常・前編、飛ばされた4人と自己紹介~
あけましておめでとうございます。
クリスマスネタはないです。
こちら側と似た文化があるのは仕様です。
作者が出てくることについては、この話の仕様です。
「新年、あけましておめでとうございます!」
突然、謎の空間に俺、柊、リリィ、咲奈が飛ばされ、その空間の中で何もない方向に話している頭のおかしい奴を見つけた。
「誰だお前」
「そんなことはどうでもいいんじゃないのか?」頭のおかしい奴はすっとぼける。
「重要だから聞いてんだろうが。」ドスのきいた声で威圧をかける
「えー、めんどくさい」
「それがお前の本音かよ!」柊がツッこむ。本当にコイツは頭がおかしい。
「仕方ねーな。どうも、木丘柊遠です。あ、時間とか気にしなくていいからな。ここにいる間は全て止まってるから。」
どうでもいいことを伝えられた。どうでもいい。
「で、私たちを読んだ理由は?どうでもいい理由なら帰りますよ。」
「どうでもいいなんてとんでもない。今日あんたらを呼んだのは理由があるんだよ」柊遠はそう告げる。
「まあ新年じゃないか。そしたら私もしっかり更新しなきゃな、って思うんよ。んで、思いついたのさ。『そうだ!自己紹介させよう!』って」
「はあ、じゃあ私たちを読んだのは」
「自己紹介、してくんね?」柊遠はリリィを遮っていう。
「……それだけ?」
「それだけ。4人終わったら返してやるから、ね?頼むよ。終わったらいい肉と魚用意して贈るから」
「やりましょう。」リリィの目の色が変わった。俺と咲奈はまたかと呆れ返り、柊は面白そうな目で見ている。後であいつ殴る。
「……仕方ない。終わったらさっさと返せよ。」
「ご心配なく。」おちゃらけて返す。コイツも帰る前に殴ろう。
「白石陽。18歳。平民。」
「平民ですかそうですか。陽は中学時代に剣道の全国大会の団体戦で優勝した実績があるんだよ。副将だったね。弱点を見極めたりする『竜の目』、踏み込む時の脚力を大幅増大させる『竜の足』、突き出した時の力を上昇させる『竜の爪』という能力があるんだよ。『竜の三力』って呼ばれてる力だね。素の腕力も並外れてるから、球技とかはかなりうまかった。まあ頭は良くなかったね。あと――」
「おい待て、なんでそんなに知ってんだ。」おかしい。こいつはおかしい。
「え?なんでだろうねぇ。」絶対おちゃらけて濁すだろうと思っていた。
俺の疑問を無視して、自己紹介はリリィへと移った。
「リリィ・メイナーです。蜘蛛族、アラケニーで年齢は忘れました。蜘蛛族の王を努めております。今年の目標は少しでもドジを治していくことです!」
「はい、ありがとう。リリィさんは話せることが少ないね。年齢についてもね。ああ、リリィさんはむちゃくちゃ強いよ。あと、アラケニーだけど他種族との交流のため、蜘蛛脚は隠しているんだよね。じゃあ次は柊よろしく~」
「橘井柊。年齢二十歳。学生時代弓道で一応全国一。一応植物と会話ができる。」
「うんまあ、それだけでも構わんかな。あと最近から植物の力を借りることができるようになったよね?」
「まあ、そうだな。俺から植物に対し、こうして欲しい、と念じるとそのように動くという感じかなもっと具体的に言えば、俺が今柊遠に対し動きを封じてくれ、と念じれば蔦や木の根が動きを封じるのだが」
「ここはちょっと空間が特殊だからねー植物の力も届かないんだよ。」
「そうか……このままだと次は咲奈か?」
「そうだね。じゃあ咲奈ちゃんよろしく!」
「峰ヶ丘咲奈。16歳だからこの中じゃ最年少ね。そして誇り高きディアボロ一族!風属性に長けた魔法使いでもあるのよ!」
「ディアボロ一族はもともと風魔力を持っているんだけど、咲奈ちゃんみたいに魔法として操れるほどじゃないんだよね。だからかなり強い部類なんだよね。昔は『騎槍と重鎚の剛王』なんて呼ばれたことが」
「やめろおお!!!」咲奈の悲鳴に近い叫びが放たれる。そんなことになっていたのか……
「それ昔って私が里から出る前だから2年前だから!昔じゃないし!」そこかよ。
「みんな自己紹介してくれたね、ありがとう。じゃあ帰すねー」
あっさりと俺たちは、不思議な空間から帰ることができた。
後日、A5ランクの黒毛和牛とかいろいろ届いてリリィのテンションが上がったことは言うまでもない事実だが、それは別の話である
後編は新年の日常を題材にします。