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タブラ・スマラグディーナ・Ⅸ
「そっちに行くより、こっちが近いから、こっちにしたんだ。あとは力の温存」
「そうね、それは必要なことだわ」
納得し、ディーはソロモンは今、取りに行かせていると言う。
「さっすが、ディー。ローゼンと違って話が早い」
「ローゼンクロイツ……あの無能はいつまで城主なのかしら」
「そりゃあ、クロウリーを始末するまでじゃん」
今さら何いってんの、と言外に含んだ言葉に「わかってるわよ」と言うディー。
アクワ・ペルマネンスの城主は、最果ての地に住む錬金術師を除いた、最年長の錬金術師が務めるのが通例だ。
それでいけば、メイザース・マクレガーが城主になるのだが、彼はクロウリー・アレイスター側についた。
そのため、ローゼンクロイツ・クリスチャンが繰り上げで城主になったのだが、多くの錬金術師はローゼンクロイツが城主であることに、いい顔をしない。それは錬金術師としてのレベルが他の錬金術師より劣ることが原因だろう。
「ローゼンが城主なのが気に入らないのはわかるけど、もうちょっとの辛抱だから、我慢してよ」
苦笑いしながら言うサルサディアにディーは、軽く息を吐いた。