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タブラ・スマラグディーナ・Ⅶ



「……再び、地上に降りてもらうよ、アース」



 それは過去の記憶だ。

 鉄格子──いわゆる檻だ──の中にいるアルフォンスに向かって、世界の主、ヘルメス・トリスメギストスは言う。



「それで、すぐに戻れと」



 アルフォンスの答えに「いや」とヘルメスは頭を振る。──アーヴィガイヌとサルサディアが暴走する少し前の会話だ。



「戻るなと? いつもはすぐに戻れと言うくせに」

「クロウリーの件が片付いていない」

「確かに。でも、クロウリーみたいなのはなくならないだろ」

「アース。だから、言っているんだ」



 若干、呆れた口調でヘルメスは言う。



「ここに戻らなくてもいいのは嬉しいが、タブラ・スマラグディーナと違って、この姿でおれは地上に長くいられないぞ」



 破壊者である彼は正常に働いている世界では必要以上に居ただけで、歪みが生じる。



「……「器」は用意する」

「用意したじゃなく、用意するなのか」



 普通は用意しておくものだろう、と心中で呟くアルフォンス。仮初めの肉体があれば、多少ではあるが、地上にいることが出来る。



「仕方ない。器はまだ誕生していない」

「なら、器が誕生するまで、おれはどうすればいいんだ」

「カリオストロの所に」



 東方イースト・最果ユモスト・てのピラスに住む錬金術師の名を挙げる。この時のカリオストロ・アレクサンダーは千五百歳近い年齢であった。



「結局それか。まあ、最果ての地が一番、影響がないからな」



 他にも影響の受けない場所はあるが、もっとも影響を受けない場所が最果ての地だ。



「じゃあ、行ってくるから、檻をあけてもらいたいんだが」

「……器が生まれたら、呼び戻す」



 檻から出たアルフォンスは「はい、はい」と返事をし、地上へ降りるために、そこから去った。──その後、ソロモンは散り散りになり、西方の最果ての地は滅びかけた……。





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