タブラ・スマラグディーナ・Ⅳ
ちょっと、血の表現があります。
戦いが始まってから、どれくらいたったのだろう。アーヴィガイヌもサルサディアも、もちろん、クロウリーとメイザースも身体中傷だらけになっていた。
「穿つ炎、灰燼に帰せ!!」
サルサディアの手についている血が、呪文と同時につらら状になって炎と共に、クロウリーに向かっていく。
「──甘い!!」
放たれた力を防ぎ、粉塵がまうのを利用して、クロウリーはサルサディアとの間合いを詰める。詰められた間合いにサルサディアは対応が一瞬、遅れる。──それが、決定的となった。
「貰うぞ、鍵を!」
口許に笑みを浮かべ、クロウリーはサルサディアの左眼を抉りとる。同時にサルサディアの悲鳴が響き渡る。
「サーディア!?」
悲鳴に気付き、サルサディアの方を見ると、左眼を抉られ、蹲っている彼が視界に映る。
「……目的がなんなのか、わかっていて相手をしていたんだろう、アーヴィガイヌ」
「それはそうだけどね……術α・水炎!」
水と炎の力がメイザースを襲い、その隙を狙って、アーヴィガイヌはサルサディアの許へ走る。
(……これでいいんだろう……)
アーヴィガイヌの後ろ姿を見送りながら、メイザースは心中で呟いた。