月下の闇(ウェスペルス)・Ⅵ
「──お前ら……」
呆れたように呟くのは「破壊者」──アルフォンス・ルイ・コンスタン。
マサク・マヴディルはまだ光に包まれたままだ。
「不可抗力ってやつだな」
サルサディアの答えにやれやれ、というように肩を竦め、大きく息を吸ってから、双眸を細める。
「──「火によって清められた者」……〝世界の主〟の命により、「縛られた檻」へと封じる」
そう言って、ぱちんっと指を一回、鳴らすと大陸を包んでいた光は消え──クロウリーの死体は消えていた。そのかわり、クロウリーの死体があった場所には黒い粒の塊が存在していた。
「〝月下の闇〟を「縛られた檻」に封じ、永遠の呪縛たる夢を……」
黒い粒は「破壊者」の言葉と共にそこから消える。
「……さて、おれはレヴィを戻してから戻る。お前らもちゃんと戻れよ」
戻るわよ、とアーヴィガイヌが答え、サルサディアも手を振って、答える。それを見て、彼はメイザースの所へと向かった。
回復したメイザースは、ベットから起きて、部屋を出るため、扉に手をかけたが、背後に気配を感じ、振り向くと「破壊者」が立っていた。
「さすがに回復が早いな」
「破壊者」の言葉に答えず、メイザースは扉に背を預ける。その態度を気にするわけでもなく、彼は言葉を続ける。
「クロウリーは死んだ。お前の役目も終了したから、予知の能力は消える」
そこでようやくメイザースは反応を示し「本当か?」と聞き返す。
「本当さ。もう、必要ないだろう、お前には」
その通りだとメイザースは内心で頷く。
「──皮肉な呼び方だと思わないか?」
唐突な質問にメイザースは怪訝な顔をする。




