月下の闇(ウェスペルス)・Ⅴ
戦いのシーンが書けなくてすいません。
「生命を持つ種族にとって、「死」は必ず訪れる。わたしはただ、その時が早かっただけなの」
「シャリル……」
にっこりと微笑み、シャリルはクロウリーに言葉を続ける。
「覚えていてね、クロウリー。わたしという幼なじみがいたことを。どんなに月日が流れても、誰もがわたしのことを忘れても、貴方だけは覚えていてね」
それが、彼女のクロウリーに送った最後の言葉。その翌日に彼女は静かに息を引き取った。
「……シャリル、俺はお前のことを忘れない」
シャリルの墓の前でクロウリーは呟く。
「すべてを手に入れて、お前を復活させる」
この瞬間、クロウリーの心には闇が生まれた。
それは──〝月下の闇〟が誕生した瞬間でもあった。
「──可哀想だな」
静かに言うのはサルサディア。その視線の先には胸から血を流しているクロウリーの姿がある。
彼の力を防ぎ、サルサディアの力がクロウリーの胸を貫いたのだ。
「…………っ」
「自惚れるなと彼女は言っていたのに……」
地面に伏しているクロウリーにアーヴィガイヌは言う。
「……お、れ……は……」
「彼女の願いは復活ではなかったでしょう」
「覚えていてくれることが彼女の願いだったのにな」
ふたりはそれぞれ、クロウリーに言う。
ふたりの言葉に対し、クロウリーはもはや、身体を動かすことも、言葉を発することもできない状態だ。
「久遠の眠りにつくといい。永遠の呪縛がお前を待っている」
「さようなら……クロウリー・アレイスター」
それぞれ、クロウリーに言葉を伝えた数瞬後、大陸全体が光りに包まれる。
(……シャリル……)
それがクロウリーの最後の言葉。彼の双眸が静かに閉じられ……息絶えた。




