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ソロモン・Ⅴ
「……な、にを……」
「知っているんだろう? 俺の〝未来〟を。お前はあの三人の次に長寿で、本来の城主だ。──それに、世界の主のお気に入りだ、お前は」
クロウリーの言葉にメイザースは目を見開く。言っている意味が理解できないのだ。
世界の主にとって、大事なのはタブラ・スマラグディーナと「破壊者」だけ。けっして、自分ではない。
それ以外の存在など、歯牙にも掛けていないはずだ。
「……なにも……」
知らないという言葉は息苦しさで続けて言うことは出来ない。
「そうか……」
クロウリーの呟きにメイザースはもしかしたら……と思った。ゆっくりとクロウリーが首を掴んでいない手を振り上げる。
(彼はもう……狂っているのかもしれない……)
それが、メイザースが最後に思ったこと。その直後──彼の視界は紅く染まった……。