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ソロモン・Ⅳ
部屋の外にいたメイザースは「そろそろか」と心中で呟き「やはり、予知なんて能力はいらないな」とも呟く。
(結局、扉は開かない……待っているのは〝死〟だ)
そう考えるとクロウリーが憐れに思う。
けっして、彼の望みが叶うことはないのだ。
(他の望みだったなら、死は免れただろうが……〝世界の主〟になろうなんて考えるから、結末は死なる)
クロウリー・アレイスターの望みは世界の主になること。
そのために手にいれようとしているのだ、タブラ・スマラグディーナを。
(錬金術師は神にはなれない)
憐憫を含んだ息を吐いた時、クロウリーがメイザースの名を呼び、紅茶を淹れるように言った。紅茶を淹れたメイザースがクロウリーの前に紅茶を置くと、クロウリーは突然、メイザースの首を掴み、彼を床に叩きつける。
「!? がっ、はっ……」
「──答えてもらおうか、メイザース」
怒りを宿した瞳で、クロウリーはメイザースに問う。