表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クルトゥース断章  作者: 高田玄武
13/21

第十三幕 安堵

-13-


銃声に驚き、カラスが飛び立つ。

俺の放った弾丸は、スキンヘッドの汚い頭をかすめ、数センチほどの弾痕を残して何処かに消えていた。


スキンヘッドはそれまでの痛みと銃声のショックで、白眼を剥いて、口から泡を吐いていた。


これだけの目に遭えば、二度と俺たちに近付くまい。俺は、男から離れると、イリシアのほうに近付く。


「大丈夫か?」


イリシアは大きく眼を見開いている。


「こ・・・殺しちゃったんです・・・か?」


泣きそうな顔をして男と俺を見比べるイリシア。

・・・こんな目に遇っても他人を心配するのか、この娘は。


「・・・脅しただけだ。今は気を失ってるがな。当分起きんだろう。」


俺の言葉を聞いて、一瞬安堵を洩らす。


だが、次の瞬間、一気に表情が歪む。


「・・・っひぃっ・・・うぁぁ・・・っ!。」


「おい、どうした!?何処か痛むのかっ!?」


イリシアは、ぶんぶんと首を振ると、俺の腕にしがみつき、大声で泣きじゃくっていた。

緊張が取れた安心感からだろう。俺は、背中をさすってやりながら、しばらくの間、腕の中のイリシアを見守っていた。

しばらくすると、安心したのだろう。イリシアは俺の腕の中で、すぅすうと寝息を立て始めた。


「・・・やれやれ・・・。」


俺は、イリシアにコートを着せてやると、背負って、路地裏を後にする。

とりあえずは、戻るしかあるまい。

そう考えた俺はアパートへの岐路についた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ