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虹色の電撃姫~いやだからオレは……~  作者: 芦田貴彦
第二部 ガンスリンガー
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新メンバー加入!

「……あの銃は、もともと私の家の地下に保管されてたものなの」

昼の騒動から数時間が経った放課後。オレたち生徒会役員全員が、生徒会室に集結していた。

「ご先祖様が昔手に入れたものらしいんだけど、悪い予感がするってご先祖様の友人の魔法使いの人に言われて、封印してあったんだって」

生徒会メンバーのほかに、生徒会室にはソロナの姿があった。みんなの視線が集まるところに椅子を据え、座っている。


ちょっと前に楓と一緒に目を覚ましたソロナは、事の成り行きを説明したいと言い出した。本当はもう少し休んでいた方がいいのだろうが、本人がどうしてもと言うので、重い体に鞭打ってここに来たというわけだ。こんな話、さすがに横になっていた保健室では言い出しづらい。結界を張ろうとしても、普通に保健室を利用する一般生徒がいる場合、いろいろと不都合が生じてしまうらしい。それに、この人数だと、普通に目立ってしまう。あまり一般生徒が来ない生徒会室に場所が移るのも無理はない。ソロナや、同じく起きたばかりであまり体調も芳しくない楓にとっては酷だが、我慢してもらうしかない。


まあ、衰弱が激しいのはオレも同じだが、オレはなんとかなっている、と言う感じだ。へろへろなのには変わりないけどな。


「封印されてたって、なんでソロナはそれを持ってたんだ?」

オレが普段通りの男口調で話すと、ソロナはオレを見て少し目を見開いた。

そうか。そういえばソロナにはこっちの口調では話してなかったな。一体どう弁解したものか……。

「……それが、フルミナちゃんの素の口調?」

不意にソロナが言う。オレは一瞬体裁を気にして否定しかけたが、結局頷いた。

「……ああ。これがオレの素の口調だよ」

「……『オレ』。……そっか。うん、そっちのほうがなんかフルミナちゃんらしいよ。敬語使ってた時より、自然に感じる」

「そ、そうか……」

オレはどう返してよいものか困り、ぽりぽりと頭を掻いた。


「……こいつの質問に戻るが、何故わざわざお前は、封印されていたっていう銃を持ち出したんだ?」

すると、オレの横に座っていた勠也が、軽くオレを横目で見た後、ソロナに視線を投げかけた。ソロナは、それに申し訳なさそうな表情をした。軽く足元に置いていた両手を握る。


「……呼ばれたの」

「呼ばれたって……銃に?」

オレが聞くと、ソロナは小さく頷いた。

「具体的にどう呼ばれたかは、私もよく覚えてないんだけど。でも、私はそれに反応しちゃったんだ。それで…………気づいたら、辺りが血に染まった森で立ってたの」

「辺りが、血に……」

「……あの事件の犯人は、あんただったんだな」

勠也が納得したように言った。対してソロナはうつむいた。

あの事件と言うのは、きっと以前募金活動をすることとなった猟奇的なあの事件のことだろう。確かに風魔法を使うソロナなら、魔法で切り裂くことも、応用すれば窒息させることも出来ると言われても納得できる。空気を操って真空を作ることが出来れば、周りの空気を奪って窒息する環境を作ることが出来る……んだろう、きっと。魔法に詳しくないオレの考えだから、合っているかどうかは保証できないが。


「……気になったのですが。その後どうしてこの街に来ることになったのですか?」

そこで、黒塚の隣にいた水穂が、軽く手を上げて言った。言われてみれば、その通りだ。その後、わざわざ遥か彼方の日本に来た理由が、さっきの会話からでは分からない。

「……お父さ……父に、言われたんです。この街に、魔族に詳しい友人がいる、と。多少正気を疑うような奴だが、その友人なら、お前に憑りついた魔物を何とかしてくれるだろう、って」

それを聞いて、オレは思わず勠也に視線を送った。勠也もさすがによく話がつかめなかったのか、オレの視線に気づくと首をひそめた。見ると水穂もどう聞いていいか悩んでいるようだ。

「……魔族に詳しい友人と言うのは、一体――」


「君のお父さんの名前は、グンナル、だね?」


その言葉に、ソロナが驚き、その反応を見てオレたちも遅れて目を見張ることになった。

「え……ま、まさか魔族に詳しい友人って言うのは……」

「おそらく、僕のことだろうねー」

あっけらかんと黒塚は言った。オレたちは驚愕の事実を知らされたように、呆然と黒塚を眺めた。

「マジかよ会長! どんな交友関係してやがんだ!?」

堪りかねたように、紅汰が黒塚にかみついた。それに黒塚は「いやー」と首をひそめて、

「彼とは、以前ちょっと縁があったくらいだよ。まさかこんな形で頼られるとは思ってなかったさ」

「僕も驚いたよ」と黒塚は言い、視線を紅汰からソロナに移した。


「……おそらくその魔物は、ソロナ君がお父さんよりも魔力が高いことを知ってたんだ。その上、封印は長い時を経て効果が切れかかっていた。……今まで目立った動きを取らずに、水面下では狙ってたんだろうね。自分が封印を抜けて自由に動き回れるその時――つまり、ソロナ君が封印を解いてくれる時を、ね」

「そ、そんな……」

「ソロナ君。銃に……正確には、魔物にか……に呼ばれた日って、何か特別な日じゃなかった?」

「特別な……日」

黒塚に言われると、何か心当たりがあったのか、ソロナはつぶやいた後小さく目を見開いた。

「……母の、命日でした。……どうしてわかったんです?」

ソロナが不思議そうに黒塚を見た。すると黒塚は「えっとね……」と口を開いた。

「魔力って言うのは、精神に依存するところが大きいんだ。大体の魔力の量っていうのは、個人によってある程度決まって来るけど、その時の精神状況――怒りとか悲しみとか――によっても左右される。まあ、最大最小の考え方だね。本来のソロナ君の魔力の量なら、奴の支配にも完全ではないにしろ耐えられるはずなんだ。ただ、その当時のソロナ君の精神状態は普段よりは負担がかかった状態だった。耐えられるほどの魔力を捻出できないところを、奴に狙われたんだ」

随分と狡猾な魔物もいるんだな、とオレは思った。どうやら魔物というのは、今までオレが戦ってきた理性のない怪物のようなやつばかりではないらしい。……不運にもその魔物に目を付けられたソロナは、母親の命日という傷心の中、さらにあんな悲劇を体験してしまった。淡々と話してくれているソロナの心境は、実は悲しみや罪悪感でいっぱいなのかもしれない。


「……で、その魔物はどうなったんだ?」

静まりかけていた中では、紅汰の声が大声に聞こえた。さほど音量は大きくないのだが。

紅汰の声を、空気を直す契機としたのか、黒塚が少し明るい感じで答えた。

「ああ、それなら大丈夫だよ。日向君の魔法で、奴の憑代だった銃は使い物にならなくなった。そのまま逃亡を図ったみたいだけど、最後は僕がとどめを刺してきたよ。もう心配はいらない」

黒塚がそう言うが、ソロナの表情は暗い。いくら魔物の脅威がなくなったとはいえ、ソロナはもう加害者になっている。オレたちにとっては、魔物が倒されればそれで終わりだが、ソロナにとっては違うのだろう。


「……」

しばらくだれも言葉を発さない。ソロナの手前、魔物を倒したと言っても手放しで喜べないからだ。いつもならすぐ歓喜の声を上げる紅汰も、ソロナを気遣っているのか口を閉ざしていた。


「……ソロナ君」


沈黙を破ったのは、黒塚だった。黒塚は真っ直ぐにソロナを見つめる。

「確かに君はたくさんの命を奪った加害者だ。……でも同時に、魔物に支配された被害者でもある。自分の意志ではない中で、やむなく手を血に染めた被害者なんだ。……そこで提案があるんだけど」

そこで黒塚が椅子から立ち上がった。その音を聞いて、うつむきがちだったソロナが黒塚を見上げた。ソロナの視線を受けて、黒塚は朗らかに笑った。その後机越しだが、ソロナに向かって手を差し出す。


「生徒会に入らないかい?」



「え……」

それを聞いて、ソロナが呆けたような顔をした。しかし、黒塚はそんなソロナを無視して言葉を紡ぐ。

「君の魔力は高い。魔物の憑代として狙われるほどにね。今回はそれが悪い方向に動いちゃったかもしれない。けどその高い魔力は、反対にその魔物たちを倒す武器となりえる。奪ったしまった君の力は、逆に助ける力となりえるんだよ。魔物に脅かされる人たちを、救う力となるんだ」

「……救う、力」

「……まあ、少し大げさに言ってしまったけど。でも、僕は間違ったことを言ってないと思ってる。僕が……いや、ここにいる全員が、間違いにならないように導いてくれるさ」

「ねえ、みんな?」と黒塚がその場全員を見渡す。その後その視線が、ぴたっとオレで止まる。どうやらオレに返事を求めているようだ。オレは、そこでこっちに振るのかっ、と目を白黒させたが、やがて頭を掻きつつ口を開いた。


「……生徒会に入るのは、オレは反対しないよ。実際戦ってみても、かなり強かったし。導く云々はどう反応したらいいかわからないけど、まあソロナなら大丈夫じゃないかなって思うし。……入るかどうかは、ソロナ次第だけどさ。少なくともオレは、良いと思う」

どう言葉を紡いだらよいか分からなかったので、とりあえず入ることを肯定するという考えだけは言うことにした。


「……許してくれるの?」


と、そこでソロナがオレの方を向いてぽつりとそう言った。オレは一瞬なんのことか見当もつかなかったが、やがて先ほどの戦いのことであろうと思い当たった。殺そうとしたことを許してくれるのかと、ソロナは言っているのだ。

おそらくソロナにとって、この場で一番の懸念はそれなのだろう。確かに、被害者であるオレたちが目の前にいるのだ。不安になるのも無理はないが……。


そう考えると、おもわず苦笑が漏れてしまった。オレがなぜ笑ったのか分からない様子のソロナは不思議そうに首をかしげたが、なおもオレは苦笑しつつ首をひそめた。

「許すもなにも、ソロナは操られてたんだろ? 悪いのはその操ってた魔物であって、別にソロナの所為じゃないだろ。なあ、楓?」

オレは勠也とは反対の隣に座る楓に目を向けた。楓は疲労で少ししんどそうだったが、オレの言葉にしっかりと頷いた。


「……ありがとう」

ソロナは驚いたようにオレと楓を眺めていたが、やがて笑みを浮かべてつぶやいた。被害者だと思っていたオレたちに、当然のように自分の所為じゃないと言われて、鬱屈とした気分が晴れたのだろう。ようやっと元気なソロナの表情になった。


その後オレたちから視線を外し、ソロナは黒塚を見た。

「……いいんですか、私が入って?」

「ああ、もちろん。歓迎するよ。ね、みんな?」

当然だと言わんばかりに、黒塚が自信ありげに言った。黒塚の言葉に、生徒会全員が異論はないとばかりに頷いた。それにソロナの顔にさらに明るさが戻る。ソロナはがばっと立ち上がって、ばっと勢いよく頭を下げた。



「……よろしく、お願いします!」



こうして、生徒会に新たなメンバー、風を主とした四属性を操る銃使い、ソロナ・フライハイトが加わったのだった。





「いやー、女の子が銃をばしばしぶっ放すなんて、萌えカッコいいね!」

「今くらい自重しろよっ、締まらねえだろ!!」


最後少し微妙な展開になってしまったかもしれませんが、新たな仲間、ソロナが加わって第二部『ガンスリンガー』はこれで終了です。


最初はさらりと流す予定の話だったのですが、予想外に長くなってしまった……。ほんとは、一部より短くなるかもと思っていたんですがね。無計画に書いていくと一部の1,5倍ほどの量に。どうしてこうなった……。


まだ話の案は考えているのですが、なにぶん徒然なるままに走っているので、この先どうなるかは、自分でもよくわかりません。それでもこの話におつきあいいただけると、うれしいなぁと思っている次第であります。

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