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虹色の電撃姫~いやだからオレは……~  作者: 芦田貴彦
第二部 ガンスリンガー
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序章

とある国のとある森。

町はずれにあるその森で、ある日世間を騒がす恐ろしい事件が起こった。


最初に目撃したのは、夜行性の動物を観察しようとして、深夜森に入った動物学者らの一行である。


その森は、貴重な動物が生息すると同時に、ここ数か月頻繁に新種が発見されている、学者たちの間では非常に注目されている森であった。しかし、野盗の温床としても知られていたところであったので、学者たちは腕に覚えのある護衛たちを連れていた。


その日はきれいな満月であった。

学者たちは、野盗の存在に緊張を隠しきれないでいたが、それに負けない好奇心を持っていた。


しかし、観察は思いの外はかどらなかった。新種どころか、本来見えるべきであろう個体にも出くわさない。動物たちが全くいなかったのだ。


学者たち一行は、なにかおかしいと思い始めた。


しかし高い研究費を払い、このような辺境の町まで来て、あげく護衛まで雇ってきたのだ。スケジュールの関係上、次の満月の日まで待つことはできない。チャンスは今日しかないのだ。さすがに手ぶらでは帰れない。


そこでふと、学者の中の一人が仮説を立てた。


もしかしたら満月の日限定の行動なのかもしれない。

そのように考えると、がぜん意欲がわいてきた。


絶対になにか発見してやる。


そう考え、学者たち一行は徐々に奥へと進んだ。



そこで、突然見たのだった。





おびただしいほどの死体たちを。





それはもう、まさに地獄のようだったという。


数十体にも及ぶ死体の中には、動物だけではなく、森を根城にしていたであろう野盗たちのものもあった。


一行は、事件性の強さに一度足を止めたが、風に誘われるように、さらに先へと進んだ。


そして一番奥の、不思議と木々が立っておらず、月明かりがまっすぐと入るその空間に『それ』はいた。




『それ』は、細身の少女であった。




しかし、一目でただの少女ではないことも分かった。



少女の足元には、先ほどとは比べ物にならないほどの死体が転がっていた。動物も、人間も関係なく殺されていた。少女も、元の服がどうだったか分からないくらいの返り血を浴びていた。


月を眺めていた少女は、一行が現れるとゆっくりと振り向いた。

少女の顔は、まだ幼かった。十五、六歳程度だろう。風に揺れる緑の髪が、彼女を森の精霊のように見せる。


だが可憐な見た目に反し、少女はひどく血に飢えた瞳をしていた。


護衛の一人が、危険を感じ手に持っていたライフルの銃口を少女のほうに向けた。

少女は呆けたようにその銃口を眺めていたが、


やがて、



笑った。




その後のことは、よく覚えていないという。数瞬後には、少女がいつの間にか持っていた小さな二丁拳銃に、学者の前で壁を作っていた護衛たちが、すべて殺されていたというのだ。




「っあはははははははははははは!!」




狂ったように笑い出した少女。


学者たちはなりふり構わず逃げ出した。少女は笑いつつも、背を向ける学者たちを無遠慮に撃ち抜く。その死の嵐の中、たった一人、運よく町まで逃げることができた。

少女は町までは追ってこなかった。

生き延びたその学者は、顔面を蒼白にしながら言った。





『あれは、魔物だ』と――


第二部『ガンスリンガー』の序章です。


一発目からなんとまぁ……ひどい話です。


誤字、脱字、修正の指摘、感想をお待ちしています。

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