夫の愛人が産んだ子を七年育てましたので、役目は終わりですね
最終エピソード掲載日:2026/04/11
公爵夫人セレナは、結婚した日から全てを知っていた。
夫の愛人のこと。その愛人が産んだ子を、自分が育てていること。
夫が自分の仕事の手柄を全て横取りしていること。
知った上で、七年間残った。あの子に罪はなかったから。
だが七年目の春、息子が「本当のお母様に会いたい」と言った日——セレナは微笑んで離縁届を差し出した。泣きも怒りもせず、ただ一言。
「私の七年分の帳簿を、どうぞご自分でおつけくださいませ」
去った先で待っていたのは、八年前に縁談を断った不器用な伯爵と、赤字だらけの帳簿の山。
帳簿を武器に領地を立て直す日々の中、毎晩机に届く温かい茶。銘柄を全部覚えている、無口な領主。
元夫は泣いていた。私は、新しい領地の花を植えていた。
夫の愛人のこと。その愛人が産んだ子を、自分が育てていること。
夫が自分の仕事の手柄を全て横取りしていること。
知った上で、七年間残った。あの子に罪はなかったから。
だが七年目の春、息子が「本当のお母様に会いたい」と言った日——セレナは微笑んで離縁届を差し出した。泣きも怒りもせず、ただ一言。
「私の七年分の帳簿を、どうぞご自分でおつけくださいませ」
去った先で待っていたのは、八年前に縁談を断った不器用な伯爵と、赤字だらけの帳簿の山。
帳簿を武器に領地を立て直す日々の中、毎晩机に届く温かい茶。銘柄を全部覚えている、無口な領主。
元夫は泣いていた。私は、新しい領地の花を植えていた。
第1話 役目は終わりですね
2026/04/11 12:03
第2話 空の台所、満ちた実家
2026/04/11 12:03
第3話 八年越しの帳簿
2026/04/11 12:03
第4話 赤字の交易路に、風が吹く
2026/04/11 12:03
第5話 読めない帳簿、揺れる公爵
2026/04/11 12:03
第6話 覚えていた味
2026/04/11 12:03
第7話 知っていた
2026/04/11 12:04
第8話 取り戻せないもの
2026/04/11 12:04
第9話 私の居場所は、私が決めます
2026/04/11 12:04
第10話 花を植える朝
2026/04/11 12:04