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最終話

それから私には仕事終わりと家の帰るまでの「第3の時間」ができた。

仕事終わりのカフェやコワーキングスペース。

会社のプレゼン資料の隣にも、「店内レイアウト案」「SNS運用計画」と書かれた2冊のノートが相棒としてついてきている。


正直、めちゃ忙しい。

カフェで頼むコーヒーも一息つこうと思ったタイミングの頃にはとっくに冷めちゃってる。

ドトールさん、居座らせてくださりありがとうございます。

ノートもプレゼン資料も蛍光マーカーや付箋が増えていく。

でも、あの時みたいな「どっちつかず」な苦しさは不思議とない。

父も無事退院したようで、店内を歩いている動画が母から送られてきた。

足を少し引きずってはいるが、お見舞いに行った時よりもとても自然で思わず綻んだ。


お店も営業時間を短縮しながら再開するようだ。

とりあえず何とかなりそうでホッとした。


仕事では新たなプロジェクトの一員として指名された。

新しくできたSlackのワークスペースを見て、思わず右手をギュッと握りこんだ。

じんわり少し汗ばむ。

今度はもっと楽しみを見つけながらやってみたいな。


ふと、自分の部屋のことを思い出した。

開封したままインテリアの一部になりかけているSwitch2。

隣りに並んだ赤い箱。

自室の定位置から見える風景。

うん。今なら、きっと。


帰りのコンビニで、ハイボールと唐揚げ棒とポテチを買って帰る。


帰宅ラッシュのこの商店街にももう慣れてきた。

犬を散歩している人も、買い物袋を両手に抱える人もいる。


あのね、今日はね、やっと「あつ森」の住民になるんだよ。


誰にでもなく、脳内でささやいてみる。



オートロックの入口を抜け、エレベーターへ向かう。

ソワソワとするけど、でも、なんだか落ち着けてる。


玄関を開けた一人暮らしの部屋は相変わらず暗く私を迎えてくれる。

でも知ってる、暗闇の中に緑色の小さな光があることを。


さぁ、帰ってきた。

帰って、私はゲームする!


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