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12話
その晩。
私は繁華街を少しうろついてから帰った。
真っ直ぐ家に帰りたくなかった。
誰も待っていない暗い部屋へ戻れる決心がつかなかったのだ。
コートに包まれ防寒しているというのに、冬の風は隙間を狙って刺してくる。
街路樹の葉っぱ一枚ない姿も今の私には潔くて目に入れたくない。
飲み屋街の狭い路地をトボトボ歩き、店から漏れ出す笑い声を浴びる。
あの笑い声が怒声だったら少しは楽だったのかもしれない。
道に落ちてた空き缶に目をやるが、蹴飛ばすような資格は私には無い。
路地裏を抜けたらレンタルショップが見えてきた。
店頭には買取価格とデカデカと書かれたポスターが貼り付けられていた。
私がやりたかったあのゲームも買取価格が載せられていた。
急いで私は家に帰った。
ヒールを脱ぎ捨て。
コートを投げ出し。
枕に顔を押し付けて泣いた。
頑張っても、報われない。
選択しても、報われない。
じゃあ──
何をしたら報われるんだ。
本当はワンワン泣きたかった。でもお隣さんに聞こえてしまったらと思うと、思いっきりは泣けなかった。
何より、こんなことで涙を流す自分が恥ずかしかった。
でも涙を止めたくはなかった。
だからひとしきり泣いた。
暗い部屋ではドッグに繋がれたSwitch2の電源ランプだけが緑色に弱く光っていた。




