10話
結局帰宅出来たのは、夜の8時頃。
店のあかりも人の多さも段違いの大阪はあちこち活気を感じられたが、今はそれすらも重苦しく感じる。
移動疲れとプレゼン資料作りで疲弊した私は何とか明日の朝のアラームだけかけた。
お風呂に入る気力もない。
シングルベッドに腰掛けた時に机の上のポテチとプリンの空を見つけた。
あぁ、片付けもしなきゃなぁ。
頭の中で、明日のタスクをまた1つ増やす。
靴下も履いたまま、意識はすぐに手を離れていった。
ピリリリリリリ、ピリリリリリリ。
アラームが鳴り響く。
遮光カーテンから柔い光がもれる。朝かもしれないな。
枕元に置いたスマホをスヌーズしてまた微睡む。
ゴゾゴゾと布団にくるまり直す。丁度いいポジションに落ち着いた……。
ゴーンゴーンゴーン。
2回目のアラーム。
もう少しでもっと深く眠れたのに。頭は霧がかかったようだ。でも何とか理性で起き上がる。目は瞑ったまま。
昨日の服のまま、汗もかいていないのに皮が一枚厚くなったような身体を早く洗い流したい。
とりあえずシャワーで洗い流していく。
ようやく目が開いたのは、シャワーから出る頃だった。
ピコン。
枕元に置いたままのスマホに通知が入る。
母からだった。
父からも連絡が来ている。
2人とも無事に着いたかの心配のメールだ。
「ついたよ」の4文字だけ送信して朝の支度を始める。
カバンの中で少し皺になったスーツをアイロンがける。
ハンガーにかけて熱を逃がす。
その間に机の上を片付けていく。
Switch2の箱の周りだけやけに綺麗にしていてフッと笑いが出た。
あの日の私の力の入れ具合がよくわかる。
そうこうしている間に、ドライヤーをかけ、コンタクトを入れ、化粧をして、Switchを充電に繋ぎ、通勤用カバンの中身を整理する。
ギリギリで買ったお土産のせんべいを入れて。
今日の夜こそは、と両手を合わせる。
外が賑やかになってきつつあるらしい。おはようございますという小学生の声が聞こえる。
さぁ、行くか。
ヒールを履きながら鏡の前で最後の身だしなみをチェックする。
鍵もった、財布もった、スマホもよし。
少しゴミの散乱する商店街を抜けて、満員になっている阪急電車に自分を押し込んでいく。
おじさんとおじさんとおじさんとおばさんの化粧の匂いに押されて奥へ奥へと詰め込まれる。
帰ったら、ゲーム、するんだっ。




