1話
やったやったやった!
遂に手に入れたんだ!
何度も公式で応募していたSwitch2は4回目の落選で心がポッキリと折れた。
当選の日にメールより先に見てしまう、見知らぬ人の当選・落選の通知ポスト。
私の元へ15時を20分過ぎても届かないメール。
……終わった。
毎度メールが来る前に落選を確信してしまう自分が恨めしい。
噂ではそれ以降当選する人が多かったと聞くけど、まぁ私がやりたいカセットはただ1つ。そのために本体を買うのも少し贅沢すぎるかと理性でとどまっていた。
──はずだった。
仕事帰りにフラッと立ち寄った梅田のヨドバシカメラ。
外の柔らかな光と違う人工照明に一瞬クラッとする。
床がやけにピカピカなのは毎度不思議だ。こんなに人が多いのに。
相変わらずの品揃えの多さに圧倒されつつ向かうのはおもちゃコーナー。
ここでフィギュアやガンプラ、ガチャガチャを物色するのがたまの息抜きだ。
「買わないけど見る」いわゆるウィンドウショッピングが私の荒んだ心を癒してくれる。
最後に入荷情報でも見るかと、レジ横の張り紙を確認。
あるじゃないか!
あるじゃないか!
Switch2が!
しかも普通の会員カードでも購入可能。
目を疑って店員さんにも確認したが、あの無料で作ったカードで買えるらしい。
心臓がバクバクする。
思いもよらない出会いに「いや要らんやろ」「これは運命よ」悪魔と天使が囁きあってどっちがどっちの言葉を発してるのか判断がつかなくなる。
名乗りをあげたのは私のクレジットカードだった。
私はこういう贅沢をするために日々働いているのだよ。
決心はついてないが、もう身体はレジカウンターに乗り出していた。
レジ袋を渡された時の重量感。
思ったより軽い。そして、月末の引き落とし日が一瞬頭をよぎる。
思わず額に汗が滲み出る。
予想外の買い物をしてしまったが、これぞ大人の力ってもんよ。
真っ直ぐ家に帰って、大好きな世界の住民になる。
私の帰宅後のプランが決まった。
まだ空はオレンジになりかけ。
でもそんなの気にならないくらい、私の目の前はレジ袋とゲームの世界でいっぱいだった。
今日は、自分の欲望に軍配を上げてやった。
もう今日はゲームの世界にだけ浸りたい。
帰りはコンビニでハイボールとおにぎりと何かおつまみ的なの買って帰るとします。




