迷いしモノ─①
※注意※
この作品は、グロ描写が多数あります。
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──もしも第二の人生があるとすれば、再び地球で生を迎えるのだろうか?
天空の神々の逆鱗に触れたかのような豪雨に叩かれながら、俺は輪廻転生なんてものが存在するかを考えていた。
一寸先は闇のような暗闇が支配し、光源があるとすれば潤沢な落雷の滝の山道を下るのであれば、何かを考えなければ正気が保てない。
そんな場所にいるせいか、徐々に下がっていく体温が命の蠟燭のように思えていた。
何故、俺がこんな山道を下っているか。
それは酷道を走破しようとしていたところ、途中何か黒い物体と衝突し、ガードレールなどのない谷底へ叩き落とされたからだ。
愛車はぐちゃぐちゃになっていたが、不幸中の幸いか俺はまだ生きている──アラフォーオッサンの生命力はゴミブリ並かもしれない。
そもそも酷道を選んだのには理由があった。
俺は大の温泉好きであり、特に最近は秘湯に目がなかったのだ。
そんな秘湯がなんと地元にもあるらしく、それが先程まで通っていた酷道の先にあったのだ。
若返り効果は勿論のこと、滋養強壮等の効果もあると聞き、挑んだ結果がこのザマ。
いやはや、俺の運転は文句ないベテランの域ではあるが、衝突事故は予想できないって。
愛車が美味しそうな林檎に見えたかは知らないが、横っ腹を抉るタックルをして谷底まで叩き落す必要ありますかね? まー、無事に生きてたからいいけどさ。
「っ!? 流石にこりゃあヤバいわ……」
心臓を鷲掴みされるかのような感じのせいか、胸に激痛が走った。
命の蠟燭の蠟が残り少ないらしい──こんなところで倒れたくない!
まだだ……! まだ進める、進まなければ確実に死ぬ……!
「……めて……! ……がい! ……めて」
女の子の悲痛な声が聞こえた。
幻聴か? 幻聴ならば、せめてもっと色っぽい声を頼みたいのだが?
ゼェゼェ……! 頼む! 色っぽい声の幻聴を俺に聞かせ──あ。
「にゃにぃぃぃぃぃ!? ふざけるなぁぁぁぁぁ!」
一時の油断は、命取りになる。
木の根っこが突如隆起し、俺の足を見事に引っかかるとは、誰が予想できるっていうんだ!
地獄のような急斜面をアクセル全開で転がり続ける──どこまでも、どこまでも……。
§
女達を取り囲み、卑しい眼で誰がどの女を抱くかを思案する男達がいた。
既に女達を護衛していた者達は惨殺され、その者達は今や首で出来たトーテムポールと化している。
そんな女達を捕らえた男達は声高に叫びながら、自分達の勝利を讃えていた。
彼らは魔族と呼ばれる種族の者達だ。
ある者は三つ目を有する顔であり、またある者は蝙蝠の羽を生やす者など。
強者こそが正義と信じている種族であり、略奪は彼らにとって当たり前の行為であった。
対する女達はというと、ハイエルフと呼ばれる種族だ。
特徴的な長い耳は勿論のこと、透き通るような白い肌はまさに美の象徴。
普通のエルフよりも高位の存在であり、だからこそ魔族達はいつもよりも興奮していた。
なんせ、彼女達を一人でも売れば数年遊んで暮らせるのだ。
それが五人もいれば、軽く十数年は遊んで暮らせるだろう。
それだけハイエルフの需要は高く、まさに天からの恵みであったのだ。
「ケケケ! 流石はハイエルフ! 全員非処女! 素晴らしい! あっしらで傷物にしても、高値で売れますぜ! な・の・で! 皆さんでいつも通り楽しみましょう!」
ご満悦な笑みを浮かべながら語ったのは、山賊達の調達係であるチャック。
彼もまた魔族であり、他の魔族と比べて荒事は苦手な反面、彼らの頭脳として非常に優秀な男だ。涎を垂らしながら一人のハイエルフの脚を丁寧に舐めながら、大声で報告した。
「け、汚らわしい! 触れるな! 下衆が! 殺してやる!!」
チャックの尖った鼻を叩き潰すかのような蹴りを放ち、激しく睨みつけた女であったが。
すぐにチャックの部下の一人に頬を何度も叩かれ、自分の立場を理解させる教育を行った。
酷く腫れた顔でチャックを睨みつける女に興奮したチャックは、その女の首をねっとりと舐めながら、下衆な笑みを女に見せつけた。
「ケケケ! ボス! この女の最初の相手はあっしにお任せを! 最高の女だ!」
「ふん、好きにしろ。ワシはその真ん中の女だ。まずはこやつに己の立場を理解させ、ワシの玩具にしよう。その後は、お前達が他の女達を堪能するがいい。あまり傷つけるなよ? 商品として売るんだからな?」
≪四つ腕≫という二つ名で知られているこの男の名は、ヨルヒム。
誰しもが恐れる極悪な指名手配犯であり、自分よりも強い者達の腕を引き千切って、自分の腕にするのが好きな異能の持ち主だ。
そんなヨルヒムの趣味は玩具収集であり、これまで集めた玩具の数は数知れず。
「さて……。そろそろ宴の時間だァァァァァ! 絶望と絶頂を感じろ、メス豚どもがァァァァァ! ギャハハハハハ!」
「い、嫌ぁぁぁぁぁ! や、やめて! やめてください! お願い! 誰か! 助けて!」
ハイエルフの少女は必死に助けを呼ぶが、魔族の男達の嘲笑の中では虚しい行為。
更に言えば、この少女は他の四人と比べて着飾った物から身分の高さが窺える──それがヨルヒムの性的趣向に合致する結果になってしまった。
「安心しろ。お前のような貴族の女達は、貴重なワシのコレクションに加えている。だが、簡単に死んでくれるなよ? ワシはちとデカいからな、ギャハハハハハ!」
悍ましいモノを見て、少女はただ生まれたばかりの小鹿のように震えるしかなかった。
これからきっと自分は、ヨルヒムの玩具になる運命──そんな運命を手繰り寄せた運命の女神に対して、少女は生まれて初めて自分が信奉する女神を呪っていた。
(運命の女神よ……! 貴女を信奉してきた私達は本当に愚かでした……! 許さない……!)
無惨に剥ぎ取られる少女のドレス。
卑しい4本の腕が少女の四肢を力強く抑え込み、少女の表情から精気が消えた。
その表情に興奮したヨルヒムは、まさに興奮の絶頂を全身で感じた──はずだった。
なんと、ヨルヒムの頭上に巨大な落雷が直撃したのだ。
その余波で他の魔族達に向かって強烈な雷撃が地面を迸り、数多くの魔族達は激痛のあまり崩れ落ちた。
しかも少女達に雷撃の被害が及ばないよう、球体状の雷の保護膜で護るその光景を、神の御業と呼ばずしてなんと呼べばいいのだろうか。
(っ!? め、女神様! 女神様が私達を救ってくださったの!?)
「うぐぐ……! ば、馬鹿な……! ワ、ワシらに向かってこのような雷撃を放つ上級魔術師が隠れてい──ぎゃぁぁぁぁ!?」
そこに現れたのは、人間の男であった。
瀕死状態のヨルヒムの頭を完膚なきまでに踏み潰す男──まさに女神が遣わせた救世主。
だからこそ、少女達はすぐに彼に向かって祈りを捧げたのだが、どうも様子がおかしい。
ヨルヒムだったモノに対して挙動不審になった男は、なんとこの場にいた全員に頭を下げ続け始めたのだ。
その行為は即ち、魔族達に対する明確な挑発行為なのだ──大人しく服従しろ、さもなければ首を差し出せという意味なのは、この世界の住人ならば誰もが知っていること。
(あぁ……! やはり救世主様……! 貴方こそが私の英雄です……!)
少女は感動のあまり涙を流し、救世主に向かって愛を告白するかのように訴える──その者達を皆殺しにして欲しいと。
そして周りの女達は運命の女神の名を高らかに呼び、この場を救ってくれたことに感謝を示した。
「……貴様ァァァァァ! ボ、ボスをた、倒せる人間なんて、し、信じられん! あってたまるか! ボスがこんな呆気なく死ぬだなんてあってたまるかァァァァァ!」
「……?」
「っ!? 貴様ァァァァァァ! ど、どこまで侮辱するつもりかァァァァァ!」
チャックの悲痛な叫びを理解できなかったのか、男は耳元に手を当てながら、口元でゆっくり喋って欲しい仕草をした。
が、その口元の動きはこう言っている──「雑魚共が、かかってこい」と。
あまりにも傍若無人っぷりな男に対して、ついにチャックの堪忍の尾は切れた。
全員に号令を出し、一斉に男を襲わせようと合図をしたその瞬間──救世主の真後ろに降り立ったソレは、終焉の使徒そのものであったのだ。
終焉の使徒──彼のモノは、F天使の形に非ず。悪魔の形に非ず。
ただ確かなことは、この世に存在してはいけない化け物であり、世界を破滅させる存在。
彼のモノは、巨大な漆黒の体躯であり、その毛は一本一本が蠢く蟲であり。
激しい怨嗟を宿した無数の眼が、全ての生き物を見渡すかのように高速で動き続け。
そして、禍々しい口から放たれる臭いは、全ての生物に嫌悪感を与えるかのような腐敗臭であり、男以外の者達は思わずその場で嘔吐を始めていた。
「あ……、あ……!」
この場にいた全ての者達の共通認識──それは、絶対なる死の来訪だ。
チャックはこの時激しく後悔した──素直にあの男に服従していれば、まだ救われた道があったはずなのに。
そしてチャックはもう喋ることはなく。
終焉の使徒の血肉となって、そして最後はただ糞になるだけの虚しい肉袋。
そんな様子ながらも少女達は終焉の使徒に祈りを捧げ続ける。
狂った場はいつしか静かになり、そして終焉の使徒も姿を消した。
改稿日:2026.01.21
改稿内容:文章の内容ならびにサブタイトル変更しました。
内容変更に関して:性的描写を控えめに、文章を読みやすく。字数の削減。




