部活動
「はぁ…ほんとにもこたんは手加減ができないよなぁ」
「いや、アレは多分手加減する気なかったわよ」
「俺目線でもアレはある程度ガチだったな。それを食らって無事なお前もヤバいけどな」
実技の授業が終わり、俺たちは部室に向かっていた。俺たちが入っている部活は異変解決部。学園内で起きた能力を使った事件を解決する部活で、この学園設立当初から続いているらしい。
「お疲れ様ー」
「あ、吹雪先輩!来てたんですね」
佐々倉吹雪先輩。3年生の先輩で能力は名前の通りで《吹雪を起こす能力》。普通ならそこまで強くない能力だが、先輩が使うと別物なんじゃと思うほど強くなる。それは吹雪先輩の発想力によるものが大きいだろう。
「今日は特段異変起きてないし、帰ってもいいよー。あ、僕もあと10分程度で帰るから。あと部長も帰ったよ。」
「奈波先輩帰ったんですか!?」
「マジかぁ…今日、組手お願いしようと思ったんだがな…」
田村奈波先輩。能力は知らない。ただ、教員を除くと学園最強ではある。能力なしでも妹紅先生と張り合える実力を持ち、能力はどんな状況ですらも思い通りにできるほどの能力と言われるほど強いらしい。異変解決部の部長だが、自らが動くということは殆どなく、経理関係をしていることが多い。
「顧問の紫先生から許可は?」
「あー、あの人はみんなの判断に任せるってさー」
「マジっすか…」
八雲紫先生、東方学園の学園長で異変解決部の顧問でもある。能力は知らないが神出鬼没なためそれが能力なのではと言われている。
「はぁ…2人はどうする?」
「じゃあ私はパチュリーのところに遊びに行ってくるのぜ」
「私もお母さんの手伝いに行ってくるわ」
「なるほどなぁ、俺はどうするか…」
「あ、僕ももう帰るね〜」
「あ、はい。お疲れ様です」
そして3人が帰り、部室には俺1人が取り残された。俺が何をするか考えていると1人の足音が近づいてくる。ガラガラと部室の扉を開き入ってきたのは銀髪の美しい女性と幼さを感じさせる身体つきなのにどことなく凄みを感じる女性だった。
「ふむ、レミリアと咲夜か…霊夢と魔理沙はもう帰ったぞ」
十六夜咲夜は、1年B組の生徒でスカーレット家のメイドだ。なんでも完璧にこなす事から完璧で瀟洒なメイドとまで言われるほどだ。ちなみにレミリアと咲夜は2人とも生徒会役員で普段は忙しいのでこの時間は生徒会室にいることが多い。
「今日は貴方に用事があったからいいのよ」
「俺?そりゃまたなんの用だ?」
「それはね…」
少しばかり圧がかかる。そこまで真剣な話なのだろう。俺も合わせて話に集中する。
「私の妹のフランの遊び相手になってほしいのよ」
「…は?」
フランドール・スカーレット、スカーレット家の次女でレミリアの妹。歳は1つ下のためまだ東方学園には入学していない。性格はかなり明るく俺と魔理沙はよく一緒に遊んでいたりする。
「ただそれだけ?」
「はぁ…フランの能力は知っているでしょう?遊び相手っていうのは能力を使った組手ってことよ」
「あー…なるほど…」
フランの能力は《ありとあらゆるものを破壊する能力》で、超がつくほど強い。だが本人がそれを扱いきれておらず、定期的に発散しなければ能力に精神を呑まれるらしい。
「能力発散に協力しろってことだな…お前がやればいいだろ…」
「私は生徒会長よ。一年生にして会長になったのだがら反発してる人たちも多いのよ。それを止めるために頑張ってるの。妹の為とはいえ、そうそう時間が作れないのよ。そこで貴方よ」
「はぁ…霊夢でもいいだろ」
「霊夢は博麗の巫女としての仕事があるじゃない。貴方は暇でしょ。」
「はいはい、わかりましたよ。じゃ今から行けばいいんだな?」
「ええ、パチェと美鈴には話通してるから。フランのことよろしくね」
「はいはい」
そしてすぐさま2人は部屋を出て帰って行った。
「…咲夜いる意味あったか?」




