霊夢との組手
組手…それは能力なしの素の実力、技術のみの戦い。この世界ではほとんどやる人間はいない。なぜなら能力が全てを制するという思想が強いからだ。だが東方学園ではそんなことはなく、素手や足技…銃撃戦、剣術、槍術なども重要視されている。
「さて、今回は勝たせてもらうわよ」
「霊夢…お前が俺に勝ったことあったっけ?」
「今日がその時よ!」
霊夢の回し蹴りが俺めがけて放たれる。俺は少し身体を下げることで避ける。
「はぁ…そんなこと出来ねぇよ」
霊夢と俺は実技の時はほとんど毎回ペアを組んでいる。覚えているだけでも50戦以上はしている。だがたった一度も俺が霊夢に負けたことはない。
「ふぅ…シュッ」
俺はパンチを霊夢の顔を狙って放った。霊夢は微かに反応したものの完璧に避けることは出来ず、頬に掠る。そこからは血が流れてくる。
「女性の顔に怪我を負わせるとか…男としてどうなのよ」
「避けられねぇ奴が悪い」
俺の拳は本気を出せば能力なしで音速手前まで出せる。まぁそうすると腕がふっとびそうになるからしたくはないのだが…そんな俺の拳を避けるとまでは行かなくとも、掠る程度で済ませた霊夢もバケモノではあるのだが…
「はぁ…ならこれならどうかしら…ね!」
一気に霊夢が屈む。その動きは俺視点では霊夢が消えたと錯覚するほど華麗なものだった。瞬間足に違和感が走る。足を払われ体勢が歪む。霊夢は低い体勢から上がると同時に体勢を崩した俺に向かってアッパーを放つ。それは俺の背中に命中する。背中からの激痛に耐えながら滑るように身体を転がす。その直後、俺がさっきまで倒れていた場所に思いっきり足を叩きつけてきていた。俺は痛みを我慢しながらも立ち上がる。ジンジンとする痛みが思考を鈍らせる。
「くっそ…いってーな…」
「ここでトドメを刺すつもりだったんだけど…流石の化け物っぷりね。しかも私がアッパーを入れた時、身体を捻ってダメージを抑えたわよね」
「当たり前だろ。あの状況じゃどう頑張っても避けられない。なら最小限のダメージに抑えるのがセオリー。多少でも抑えるならジャストミートだけは避けなければならない。だから身体を捻り中心に当てないように、そしてお前の拳が俺の背中をそうように、体勢を横に変えた」
「あの場面でそれをされたら…はぁ負けよ」
「お、今日はいつもより降参が早いな」
「アンタとは長い付き合いだからね。同じ手が何回も効くとは思ってないわ。その眼がある限りはね」
「ははは、いい判断だ。それじゃあ終わるか」
そして俺たちの組手はそうそうに終わることとなった。ちなみに魔理沙はボコボコにされて気絶していた。マジ手加減とかないのな




